writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】ダイナマイトにふり返るお笑い2009

 29日「お笑いDynamite!09」が放送された。同番組の年末の放送はこれで3度目、風物詩ともいえる存在になってきている。

 番組の出来自体に不満は残るが、総勢108組もの芸人のネタを一気に見られる機会はそうはない。それだけでも価値のある番組であるといえよう。

 108組の芸人は、この一年トップスピードで駆けてきた者、来年以降の活躍が期待できる者、安定した実力を持つ者、さまざまであるが、やはり今年活躍の目立った芸人が多く出演している。そう、この番組はお笑い界の紅白歌合戦だ。

 今年の白組トップバッターはU字工事、紅組は天津木村。トリは白組がどきどきキャンプ、紅組はオードリーであった。番組としてのトップとトリはまさに今年を象徴した2組。2番手がやや首を傾げたくなるが、本家紅白とは違って組分けはさほど意味を成していないので気にすることもないのだろう。

 4時間超という長丁場で最初から最後まで視聴者の心をつなぎとめておくことはかなり難しい。そこで駆使されたのがCMまたぎだ。次はこの芸人ですよ、とネタ入るかと見せかけてCMに移行するアレである。番組をがっちり見ている視聴者からすれば邪魔くさいことこの上ないが、ザッピング派を拾ってCMを見させるには非常に有効と思われる。

 当然、芸人は視聴者に見たいと思わせる力がなければならない。つまりCMまたぎに使われるというのは、それなりにテレビ局から認められているということだ。同番組においてTBSに選ばれし芸人は、くまだまさし、世界のナベアツ、柳原可奈子、山本高広、サブングル、ロッチ、響、いとうあさこ。このラインナップを見てどう思うかは皆様におまかせしたい。

 ここ数年のお笑い界ではブレイクしては消えていく一発屋が年毎に1組や2組はいるものだが、この番組にも彼らの姿がちらほら。興味深いことに、ネタの傾向は二分化していた。

 ブレイクした芸風を捨て、新しいネタを開拓しようとしている芸人たち。探検しないレギュラーや韻を踏まないジョイマン、ワイングラスを手放した髭男爵など、なかなかおもしろいものが見られた。

 一方、相変わらずのネタで勝負を続ける芸人たちも多数いた。つぶやきシロー、ダンディ坂野の2大一発屋大御所に加え、ふたたびギターを手にした波田陽区、ギターをかき鳴らし続けているテツandトモと見所満載。特にテツトモの芸風のぶれのなさには感動すら覚えた。今年も餅をついていたクールポコも彼らの仲間入りができるであろうか。

 今年の108組のネタは大半がおもしろく、年末の笑い収めにふさわしいものばかりだった。もっと番組自体の質の向上させ、お笑い芸人なら誰もがこの番組に出たいと思うような存在になってほしい。どのような事情があるかはわからないが、やはり“09”と冠する以上、2009年お笑い界の顔であるはんにゃが出演していなかったのは由々しき事態であろう。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)