writer : techinsight

【親方日の丸な人々】八ツ場ダム問題は省内人事で解決

八ツ場ダムをはじめとした、全国各地のダムの見直し、中止の動きがマスコミを賑わせている。「政治的」にどうするかは今後の動きを注視するしかないが、親方日の丸的には省内人事の見直しによって、意外と簡単に解決が付く問題である。

省内人事といっても、役所内の中止反対派を左遷するとかいう話ではない。ダム事業を担当している技官の流動的人事異動を行えばよいのである。

お役人には、行政や法令を扱う「事務官」と、各種専門技術を扱う「技官」の2種類があって、通常は事務官がお役人の本流である。
しかし、数少ない例外として技官が大きな権限を持っているお役所が国土交通省(以下、「国交省」)である。

国交省の技官には、大分類として、「河川系」と「道路系」があり、それぞれ専門分野を持って仕事をしている。ところが、河川系技官はさらに中分類として「治水系」と「ダム系」に分かれて、それぞれ専門分野を持って仕事をしている。この両者はそれぞれ自分たちだけで凝り固まっていて、非常に仲が悪い。

同じ河川系であり、河川の維持管理や洪水防止を担当しているはずなのだが、実態はと言えば、ほとんどいがみ合っていると言ってもよい。

さて、ダムの建設目的は河川の流量調節であったり、洪水防止であったり、水資源確保であったりするが、実は一番の目的は「ダム系技官」の仕事の確保である。

河川の氾濫を防止する方法はダム建設だけではない。堤防の強化、蛇行した河川流路のバイパス工事や浚渫(しゅんせつ)工事などによっても効果が出せる。そもそも雨はダムにだけ降るのではなく、平野部にも降るのである。

しかし、それを言い出すと、ダム計画自体が立てられなくなり、ダム系技官の仕事と権益がなくなるのである。よって治水系技官とダム系技官は仲が悪いのだ。

これを解消するには、ダム系技官を治水系に繰り入れして、相互に流動的人事異動を行えば良い。
お役人に限らず、人は自分が置かれた立場でしか行動できないので、省内はまとまる。

お役所でも企業でもトップが腹をくくれば、たいていのことは可能だ。実働部隊であるお役人(ダム系技官)のメンツなどは、国家大計のためならば無視してよいのである。

その上で、地元住民の意向を聞くなり、関連機関と調整するなりして、中止の可否を決めていけばよいだろう。
治水系・ダム系の風通しがよくなった河川系技官は、河川計画を全面見直しの上、流域治水予算の確保に努めればよい。そこまでやってのお役人である。

追記:河川計画上あるいは水資源確保上、本当に必要なダム計画は推進すべきであることを申し添えておく。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)