writer : techinsight

【金融ホワイト・コラム】 2人に1人“未納”はウソ?「国民年金保険料は払うべき!」である。

前回の、【金融ブラック・コラム】国民年金保険料への疑問。「払いたくても払えない」「払ったら大損?」という意見に対して、“金融・年金のプロ”であるFP(ファイナンシャル・プランナー)の伊藤亮太氏(『スキラージャパン』)からの回答。彼によると年金保険料を払うべきであり、払った方がメリットが大きいと指摘する。また、年金未納問題もメディアによる一方的な数字の見せ方が国民に更なる不安感・不信感をつのらせている側面があるという。

ホワイト・コラムここから。
ブラック・コラム?」で08年度の国民年金保険料の未納率が37.9%とありましたが、これはあくまで国民年金第1号被保険者の中での話です。国民年金の加入者は第1~3号に分けられ、それぞれ保険料の負担や将来支払われる金額が違います。

国民年金の加入者

第1号被保険者・・・・・自営業者や学生など
第2号被保険者・・・・・サラリーマンや公務員(社会保険や共済年金がある人)
第3号被保険者・・・・・第2号被保険者の扶養家族。(第2号被保険者である配偶者などの加入している厚生年金や共済年金から保険料が拠出されるため、支払う必要のない人。)

国民年金に加入している人は、平成21年3月末現在において全体で6,940万人。そのうち未納者は315万人。つまり、国民年金全体で考えれば、315÷6,940×100≒4.5%、この未納者の人数は4.5%ほどしかいないのです。国民年金第1号被保険者の中だけで年金議論を行うのはいささか的がはずれているのではないでしょうか。

「国民年金疑問者」についてそれぞれの方へ回答します。

「最初から入ってないから気にしない。」Dさん 男性 26才。
<回答>
未納者が増えたところで、結局のところ年金を受給されないのは未納者自身になります。病気やケガが原因で障害者になった場合や、万が一亡くなった場合においては、障害年金や遺族年金も未納者または未納者の家族には支給されないのです。また過去に積み立てられた積立金があるので、保険料を納めている人が将来受け取る年金の資金が尽きるとは考えにくいです。

「結婚したら払わなくていいんでしょ?」 Fさん 女性 22才
<回答>
ご夫婦で国民年金の手続きを取りましょう。保険料を支払うだけの余力がないのであれば、保険料免除制度を活用することも意義があります。そうすれば、未納とは異なり、年金受給資格期間はカウントされますし、万が一の場合においても障害基礎年金や遺族基礎年金を受給することは可能になります。結婚したら奥さんは払わなくてもよい例はサラリーマンの奥さんなどになります。夫が学生の場合には奥様も基本的に年金保険料を支払う必要があります。

「ぜったい、もらえないって。」Cさん 男性 40才
<回答>
将来における負担の上限額(平成29年4月以降は国民年金では月額16,900円、厚生年金では保険料率を18.30%に固定)も決まっています。国民年金に加入している人は、平成21年3月末現在において全体で6,940万人。そのうち未納者は315万人。つまり、国民年金全体で考えれば、この未納者の人数は4.5%ほどしかいないのです。

「払いたくても払えない。」 Aさん(29)の話。
<回答>
60歳以降も国民年金保険料を納めることのできる任意加入制度を使うことで受給資格を満たしたり、受給額を増やす方法があります。また、2年前までの未納分であればさかのぼって支払うことが可能です。免除申請も一つの手段としては有効です。

ここで私からの疑問です。
年金をあてにしていない人たちは、果たして自助努力で老後の生活費用をまかなえるだけの自信があるのでしょうか?

現行の公的年金制度においては、公的年金は、原則として20歳から60歳までの間に25年以上保険料を支払っていない場合には支給されないため、途中でやめてしまったり、手続きを怠ると、65歳以降一生涯もらえる公的年金がもらえなくなるのです。公的年金制度ほど優れている年金は、他の私的年金や私的保険にはありません。逆に正確な金額を指定された年数分キチンと支払った場合、満額(国民年金で年額79万2,100円(平成21年度))が「一生涯」支給される確立が高くなります。(伊藤 亮太 ファイナンシャルプランナー『スキラージャパン』

ホワイト・コラムを読んでみると・・・・・

日本の国民年金は、実は頼もしく、決して“見てくれだけのハリボテ”ではないようだ。頭から否定しないで、もうすこし「年金」への関心、信頼を持ってみた方が利口かもしれない。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)