2月にオーストラリアで発生したサイクロン「フレディ(Freddy)」はマダガスカル、モザンビークを通過した後、3月13日にマラウイに上陸し甚大な被害をもたらした。フレディの上陸でマラウイ南部ではわずか6日間で6か月分の雨量を記録、その影響で土砂崩れや洪水が発生し50万人以上に影響を与えた。3月17日に国連が発表したところによると、人口約2000万人のマラウイで約360人が死亡、18万人以上が避難しているとのことだが、木に登って命拾いした人もいた。南アフリカのニュースメディア『GroundUp』などが伝えている。
マラウイでミュージシャンとして活躍するギボー・ピアソンさん(Giboh Pearson)は、マンゴーの木に登って命拾いした一人だ。パロンベ県のボコシ(Bokosi)村に住むピアソンさんは14日の早朝、自分の体が動いている感じがして目が覚めたという。彼は当時の恐怖をこう語っている。
「午前4時頃、外から私の名前を呼ぶ声が聞こえて起き上がったところ、マットレスが水の中に浮かんでいたのです。家の中は腰の高さまで浸水していたので急いで逃げ出しましたがその瞬間、強力な水流に襲われて家が倒壊しました。私の車は流されて近くの教会にぶつかっていました。」
付近の住民らも混乱していたところ、ある男性が「木に登ろう!」と叫んだそうだ。ピアソンさんは近所の人たち約14人と一緒にマンゴーの木に登り、2時間半ほどそこに留まっていたという。『Idzathera mapenate(ペナルティで終わる)』というヒット曲を持つピアソンさんは、