パキスタンに住む首が90度曲がった13歳の少女が先月28日、インドで首をまっすぐにする手術を受けた。多くの人の善意で実現した手術は無事成功、少女は第2の人生の一歩を踏み出した。
パキスタン南部のシンド州ミティに住むアフシーン・カンバールさん(Afhseen Qumbar、13)は、生後8か月の時に家の外で転び首が傾くようになった。貧しい両親は娘を病院に連れて行くお金がなく、地元の信仰療法士に助けを求めたが症状は悪化し、アフシーンさんは1人で食事をすることもトイレに行くことも、学校に通うことも叶わなかった。
そんなアフシーンさんが「首が90度曲がった少女」として世界中のメディアに取り上げられたのは2017年のことで、その翌年にはスポンサーが現れ、パキスタンの病院での手術が決まった。
ところが一家が心待ちにしていた手術はスポンサーからの連絡が途絶えて白紙になり、その後父親ががんで亡くなる不幸も重なって、アフシーンさんは病院にも行けなくなった。家事手伝いとして働く母ジャミーランさん(Jameelan)の年収は約8700円(74ドル)と、一家は食べていくだけで精いっぱいだった。
失意に暮れる一家に手を差し伸べたのはインド、ニューデリーの「アポロ病院(Apollo Hospital)」に勤務する脊椎外科医ラジャゴパラン・クリシュナン氏(Rajagopalan Krishnan)だった。同氏はイギリスの国営医療サービス機関(NHS)で15年間働いた経歴を持ち、2016年2月に首が180度近く曲がっていたインド在住のマヘンドラ・アーリワー君(当時12歳)の手術の執刀をしていた。きっかけは一家の長男モハメッド・ヤクーブさん(Mohammad Yaqoob)が当時のドキュメンタリー番組を見て連絡を取ったことで、同氏から「とりあえず検査をしてみよう」と約束を取り付けたのだった。
クリシュナン医師は「アフシーンさんの年齢を考えると、すぐに手術をしないと回復するチャンスは低いだろうと思いました。手術で彼女の生活の質を上げることができるという確信はありましたが、まずは診察が必要でした」と当時を振り返り、オンラインでのコンサルタントで準備を進め、無償で手術を行うことを約束した。
そして一家を後押しするように昨年3月、