オーストラリアでは最も危険なヘビとして知られている。有毒のヘビに噛まれた時は、毒の周りを抑えるために動き回らず、冷静に助けを待つというのがセオリーだ。ルイーズさんもグレースちゃんに対し「おちついて、動いてはだめよ!」とできるだけ身体を動かさず救急隊の到着を待つように声をかけた。
とはいえグレースちゃんはたった9歳の少女だ。ヘビに噛まれた恐怖でパニックを起こしてもなんらおかしくない。しかしグレースちゃんは驚くほど冷静に、このようにルイーズさんに伝えたのである。
「心配しないで、ママ。するべきことは分かっているわ。ラッセル・コイト(Russell Coight)が教えてくれたもの。」
「私は落ち着いて足を動かさずに、そして助けを待てば良いのよ。」
グレースちゃんは実際に、救急車が来るまで「大丈夫、ちゃんと冷静でいられるわ。だってラッセル・コイトが落ち着いていなさいって言っていたもの」と何度も繰り返しながらじっと助けを待っていたという。
ラッセル・コイトとは『All Aussie Adventures』の架空のキャラクターで、番組の顔とも言える存在だ。グレースちゃんはラッセル・コイトが番組内で紹介した「毒蛇に遭遇した時の対処法」を覚えており、実践したというわけだ。
その後、病院に搬送されたグレースちゃんはその素早い応急処置と冷静な対応が功を奏して命に別状はなく、無事に回復したそうだ。
このニュースを聞いたラッセル・コイトを演じるコメディアンのグレン・ロビンス(Glenn Robbins)は、10日に放送されたラジオ番組『3AW』内でグレースちゃんに以下のように賛辞を送った。
「君の素晴らしい働きと、そして僕が伝えたすべての言いつけをきちんと守ったことにまず祝福を言わせてもらうよ。」
「本当に、本当によくやったね。」
さらにグレンは「ところで君のママは、もしかしたら僕をオーストラリア・オブ・ザ・イヤー(オーストラリアの今年の顔)に推薦してくれるんじゃない?」とジョークを放ったが、グレースちゃんは「間違いなくね!」と返している。そして人々に向けた今後のアドバイスとしてこのように語った。
「私のように腕に点滴をされたくなかったら、靴は履いておくことね。」
タイガースネークは世界有数の猛毒をもつヘビとして知られ、その致死率は40~60%と高い。オーストラリアではビクトリア州の西側を中心によく目撃されるが駆除は法律で禁じられており、見かけた際には近寄ったり、手を出さないよう呼びかけられている。
画像は『7NEWS.com.au 2020年11月10日付「Russell Coight’s All Aussie Adventures saves the life of Geelong girl bitten by tiger snake」(Credit: 7NEWS)(Credit: All Aussie Adventures/YouTube)』『news.com.au 2020年11月10日付「Girl bitten by snake used Russell Coight’s handy tips」(Source:News Regional Media)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE)