人に心を開かず、前の飼い主から虐待を受けていた暴れ馬。「あんな馬を引き取る人なんていないだろう」と誰からも相手にされなかったその馬と、正面から向き合い忍耐強く接し続けた男性がいた。先月、その男性が亡くなり、家族や親戚が棺に納められた亡骸に最期のお別れを告げたのだが、そのなかには1頭の馬の姿があった。『We Love Animals』が伝えている。
米ウェストバージニア州アップシャー郡バックハノンに住む助産師のジャンナ・グラッパーハウスさん(Janna Grapperhaus)が先月中旬、「最期のキス」と題してFacebookに1頭の馬が棺の男性にキスをする写真を投稿した。
「私は母が血相を変えて、こう言った日のことを決して忘れないわ。『ジャンナ、あの馬を手放すように父さんを説得してよ。あのままだと父さんはあの馬に殺されちゃうわよ』」―そんな書き出しで始まる投稿文のなかで、ジャンナさんは馬と亡くなった父親の関係について明かした。
ジャンナさんによると、若くて気が荒いその種牡馬は元飼い主に見放されたのを父親が引き取ったそうで、あまりにも手に負えないことから母親が“メジャー(Major)”と名付けた。「大きな問題」を意味するメジャー・ディール(Major Deal)からとったのだという。
ジャンナさんは、やってきた当初のメジャーの様子やその後の父親との触れ合いについてこう述べている。
「元飼い主は、メジャーを調教するために鞭を使い、身体がやっと収まる狭い厩舎に4週間も水や食事を与えずに放置する荒療法をとったの。でもメジャーが懐くことはなく、父がうちに連れてきたのよ。」
「メジャーはとにかく気が強くてね。連れて帰ってきた父がメジャーを外に放した数分後には、5本のワイヤーが張ったフェンスを猛スピードで飛び超えたの。人を見れば噛みつくし、そばに寄ろうものなら頭突きをしてきたわ。」
「でも父はそんなメジャーを決して手荒に扱うことはなかった。毎日毎日、虐待されてきた暴れ馬に何時間も寄り添って、諦めることをしなかった。そうやって丸2年をかけて、父はメジャーの心を掴んだの。メジャーは2年経って初めて、父が背中に乗ることを許したのよ。」
「それからよ。父が外出する時にメジャーは何度も何度も父の頭にキスをしたわ。メジャーと父の間には、固い絆が生まれたの。馬を愛する人にしかわからない、心の絆がね。」
そんなジャンナさんの父親が先月に亡くなり、