過去50年以上にわたって世界中で広がっているデング熱の感染を食い止めるために、オーストラリアで尽力している科学者がいる。彼は自らの血を餌とし、何千もの蚊に刺され続けているのだ。そして自身のTwitterで過酷な研究経過を報告している。『The US Sun』『ScienceAlert』などが伝えた。
豪ビクトリア州のメルボルン大学で蚊や害虫、益虫などの博士研究員をしているペラン・ストット・ロスさん(Perran Stott-Ross)は、デング熱の流行終息を目的に研究を続けている。
デング熱は蚊を媒体に感染する疾患で、高熱や体の震え、強烈な頭痛や吐き気などの症状が現れる。過去50年以上にわたって感染が続いており、世界保健機関(WHO)によると2019年には420万件の感染が確認されている。
研究には大量の蚊の飼育が必要となり、そのための餌も必要になる。ペランさんは蚊に自らの血を吸わせ、餌として提供しているのだ。
デング熱の感染リスク低下には、人に無害な細菌「ボルバキア」が有効なことが分かっており、このボルバキアに感染した蚊を自然に放つことで、デング熱への感染を予防する対策を行っているそうだ。
しかしボルバキアは蚊の仲間では自然発生しないという問題点があり、ボルバキアを保有した蚊を大量に発生させることはとても難しい。ペランさんはボルバキアの増殖作業について「スライドガラスに蚊の卵を並べ、顕微鏡を使って卵一つ一つに極細の針を刺してボルバキアを保有した細胞を取り出します。そしてボルバキアを保有していない他の卵へ移していくのです。上手くいけばその卵は生き延び、次の世代へもボルバキアの保有が続きます」と話しており、