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歯は口に生えているものと誰もが当たり前のように思っていることだが、このほど症例報告専用オンライン・データベース『BMJ Case Reports』に臭覚を失った男性の鼻の奥に歯が生えていたケースが報告された。『Live Science』『New York Post』などが伝えている。
先月21日に『BMJ Case Reports』に報告された内容によると、デンマーク在住の59歳男性は過去2年間、左の鼻腔が常に鼻づまりで鼻水が垂れている状態だったという。その後は臭覚まで失い、ステロイド外用薬も効果がなかったためオーフス大学病院の耳鼻咽喉科を受診した。
そこで医師はCTスキャンで男性の鼻を検査したところ、腫瘍らしき塊が鼻腔内で見つかった。医師らはこの塊が良性の腫瘍、もしくは埋伏歯のどちらかとみて手術で取り除くことにした。そして抜歯鉗子で引き抜いて検査してみると、この塊は歯だったのだ。
男性の鼻腔内に突き出た歯は粘膜組織に覆われており、その部分は炎症を起こしていた。それが鼻の呼気の通りを妨げ、常に鼻づまりを感じる原因になっていた。また臭覚を失ったこともこれに起因する。
医師によるとこのような症例は非常に稀で、発症するのは人口の0.1~1パーセント程度だという。主に外傷や感染症によって歯が鼻の中で成長することもあると言われており、