3Dプリンターによる技術の進歩は目覚ましいものだが、半年ほど前にその3Dプリンター技術を使って作成された人工の頭蓋骨を小さな犬の頭に埋め込むという画期的な手術が行われていた。『The Star』『Fox 5 NY』などが伝えている。
米ペンシルベニア州ウィリアムズポートに住むダニエル・ディメックさんの飼い犬でメスのダックスフント“パッチーズ”(9歳)の手術が行われたのは、今年3月23日のことだった。
パッチーズは、頭蓋骨の上にオレンジサイズの腫瘍がのっかっている状態だった。ダニエルさんの話によると、腫瘍は何年も前からできており、パッチーズは家族に「リトル・ユニコーン」と呼ばれていたという。だが数か月前から腫瘍が急速に大きくなり放置すれば致命的とのことで、早急に対処しなければならなくなったようだ。
地元のかかりつけ獣医が、獣医プログラムで名が高いニューヨークのコーネル大学にいる小動物専門のガリーナ・ヘイズ獣医師を紹介、さらにカナダのオンタリオ州ゲルフ大学オンタリオ獣医カレッジのミッシェル・オブラク獣医師と合同で、北米では初の試みとされる3Dプリンター技術を使ってパッチーズの手術を請け負うことになった。
もともとゲルフ大学の獣医らは、犬の治療のために3Dプリンター技術を研究していた。これまではパッチーズのような腫瘍ができた犬への治療として、腫瘍と頭蓋骨の一部を除去し、カスタマイズされていないチタン製のメッシュをはめ込むという方法があったが、正確さに欠けコストも高く、手術時間も長くかかるため犬の負担が大きいという難点があった。そこで今回、3Dプリンターでチタン製人工骨をカスタムメイドする方法が試みられたのだが、この斬新な治療法は獣医学における大きな進歩をもたらした。
パッチーズの場合、70%の頭蓋骨を除去しなければならなかった。オブラク医師らはパッチーズの頭と腫瘍をCTで撮影し、