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writer : tinsight-suzukoellis

【海外発!Breaking News】獣医学界に大きな進歩 脳に腫瘍ができた犬、3Dプリンター作成の人工骨を移植(カナダ)

そのデータをもとに複数の異なるソフトウェアプログラムを使用して綿密な手術プランを立てた後、オンタリオ州ロンドンにある医療専門の3D印刷会社に頭と腫瘍の実体モデルとチタン製の人工頭蓋骨の作成を依頼した。医師らはこの実体モデルを使用して手術のシミュレーションを行い、3月23日に本番となる手術に挑んだ。

手術には4時間ほどの時間を要したが、術後30分以内に麻酔から目が覚めたパッチーズは、トイレのために外に出ることもできるほど元気な様子を見せたようだ。愛犬を新たな試みに託すことにおいて、最初は大きな不安を抱えていたというダニエルさんは、手術が無事に成功してパッチーズの腫瘍が綺麗に切除されたことを喜んでおり「人間だけでなく動物も救える方法を研究することは、とても大切なことですから」と話している。

ところが手術の1週間後に、パッチーズは予想外のアクシデントに見舞われた。ひどい椎間板ヘルニアになり、後ろ足2本が麻痺状態になってしまったのである。

「元気にしていますが、車椅子があるけど使いたがらず、前足2本で引きずるように歩いています。それでも意外と速くて。こんな状態になっても、パッチーズは今でも家族間のボス的存在ですね。」

一方、今回の件で獣医学界における大きな前進を果たしたオブラク医師は、このように喜びを語った。

「今回の手術は、我々獣医師だけでなく、ソフトウェアのエンジニアや工業エンジニアらの協力があってこそ、順調に行われ大成功に至りました。ミリ単位の作業でミスの余地はほとんどありませんでしたが、2週間以内には人工骨ができあがるというスムーズさでした。この技術が今後も世界的に広まっていくことを期待したいと思います。」

画像は『The Star 2018年9月23日付「Ontario researchers use 3D-printing tech to replace part of dog’s skull」(THE CANADIAN PRESS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

術後、元気に回復しているダックスフント犬“パッチーズ”(画像は『The Star 2018年9月23日付「Ontario researchers use 3D-printing tech to replace part of dog’s skull」(THE CANADIAN PRESS)』のスクリーンショット)

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