友人が自殺願望を打ち明けてきた時、「では望み通り死ぬといいよ」などと言って無責任にその背中を押してはならない。もしも自死の方法を指導したり手を貸してしまったら、あなたの人生も“終わり”となることを忘れてはならないのだ。米ユタ州で起きたある少女の自殺に関し、教唆、ほう助を認めた少年についての裁判が始まろうとしている。
ソルトレークシティのメディア『FOX 13 News』ほかが伝えたところによれば、ユタ郡スパニッシュ・フォークのジャンドラ・ブラウンさん(Jchandra Brown)という当時16歳の少女が自殺したのは2017年のこと。彼女が自死願望を示唆していたなか、当時17歳のティレル・プレジビーシエン(Tyerell Przybycien)が「よい方法を教える」として彼女に接近。ジャンドラさんは首吊り自殺を決行し、ティレルはその一部始終をスマートフォンで撮影していた。
ユタ郡保安官事務所はジャンドラさんの遺体をペイソン・キャニオンにあるメープル・レイク・キャンプ場近くで発見。木の枝に垂らしたロープで首を吊っており、現場検証中に現れたティレルは警察官にジャンドラさんの遺体のそばにある携帯電話を確認するよう促した。そこには自殺の一部始終を捉えた10分間ほどの動画データがあり、大きな石の上に立っているジャンドラさんはエアゾール缶のスプレーを吸入すると足元が崩れ、ロープに首が絞まり、帰らぬ人となっていた。
ティレルは悪びれることなく、警察にその動画を撮影したのは自分だと説明。自殺に使用されたロープ、エアゾール缶スプレーなどはティレルがクレジットカードで購入したもので、レシートも遺体のそばに置いてあった。こうしたことから自殺の教唆やほう助を疑い、警察はティレルの身柄を拘束。取り調べに対してティレルは「死というものに魅了され、誰かが死ぬのを見てみたかった。ジャンドラさんに自殺を踏みとどまるよう説得したり、首吊りを引き留めたりはしなかった」などと供述したという。
ティレルは友人に「自殺ほう助も立派な人助け。殺人とはまったく異なる」などと話していた。そのため彼の弁護士は2017年10月、死の責任を負うべきは被告ではなくジャンドラさん自身であるとし、被告に悪意がなかったことを強調。裁判に耐え得る精神状態ではないと主張したが、