友人が自殺願望を打ち明けてきた時、決して「そうしなよ。こんな方法もあるから」などと無責任なことを言ってはならない。米マサチューセッツ州のある高校で起きた悲劇をご紹介したい。
信頼していた女友達の言葉に背中を押される形で自殺を遂げた18歳の男子高校生。その女子生徒がもしも引きとめていたら、彼は命をもっと大切にしたであろうか。また彼の死にSNSで女子生徒は悲しい、寂しいと盛んに綴っていたが、それは本心なのか。まだ18歳の女子高校生を被告人とした大変難しい裁判が米マサチューセッツ州ブリストル郡地方裁判所、そして少年裁判所で行われた。
事件の舞台となったのは同州レンタムの「キングフィリップ地域高校(King Philip Regional High School)」。州のメディア『thesunchronicle.com』が伝えているところによれば、自殺願望が見え隠れする18歳の男子生徒コンラッド・ロイIII君に、友人として相談にのっていたミシェル・カーターという女の同級生は繰り返し「死になさい」とアドバイス。これによりコンラッド君は昨年7月、ある「Kマート」の駐車場に車を停め、排気ガスによる一酸化炭素中毒という方法で自らの命を絶っていた。
フェアヘブン警察署がコンラッド君の使用していた携帯電話を確認したところ、彼が「もしも自分が死んだらどれほど家族を悲しませてしまうか」、「死にたいがそれも怖い」と繰り返し悩み、苦しんで迷っていたのに対し、ミシェルがその都度自殺を促す言葉を綴っていることを発見。ある時には、決行するも一旦思いとどまり車から離れたコンラッド君を「車に戻って」と命令していたことも分かった。こうしたことからフェアヘブン警察はミシェルを自殺教唆および自殺ほう助の容疑で告訴。ブリストル郡地方裁判所の大陪審はこのほどミシェルに有罪評決を下し、ニューベッドフォード少年裁判所も少女の犯した罪を厳しく断罪した。
自分のせいで亡くなったと言っても過言ではないコンラッド君について、ミシェルはその直後から遺族のために見舞金を集めたいとしてFacebookに専用のページを開設し、寂しい、悲しい、彼の精神的な弱さが残念でならないなどと連呼。地元のスポーツ活動組織「プレーンヴィル・アスレチック・リーグ」のウェブサイトを通じてコンラッド君への追悼を呼びかけ、昨年9月にはソフトボール大会が開催されると2,300ドルの募金を集めている。またボストン小児病院でがんと闘う子供たちのために発足した慈善活動団体のメンバーで、学校では模範的な生徒であったという。裁判ではミシェルのそんな一面もむしろ反感を買ったもようだ。
※ 画像はthesunchronicle.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)