先月27日、中国で行われたファッションショーでモデルを務めた14歳のロシア人女性が死亡した。『Siberian Times』『New York Post』では長時間労働による過労死と報道していたが30日夜、中国のモデル事務所が会見を開き反論した。『The Financial Express』『The Sun』などが伝えている。
亡くなったのは14歳のブラダ・ジュバ(Vlada Dzyuba)さんで、『Siberian Times』では上海のファッションショーで13時間拘束された後、次の出番を待っている間に体温が上昇、意識を失い2日間の昏睡状態の後に慢性髄膜炎が悪化し死亡したことを報じた。またブラダさんはウラル地方ペルミの学校を休学して3か月のモデル契約を結んでいたが、医療保険に加入していなかったため病院に行くことを躊躇っていたという。
中国ではファッションショーに出演する若いモデルをロシア、特にシベリアからスカウトするケースが増えており、ロシアでモデルとして活躍していたブラダさんも今回のファッションショーのためにモデル事務所から引き抜かれた形で現地に渡っている。
新たに契約したモデル事務所「ESEE Model Management(英模文化、以下ESEE)」は、医療保険に対する確認を怠ったことを認めながらも、医療保険の加入の責任はモデルが所属する事務所にあると述べている。ブラダさんの場合は個人的なマネジメントをするディミトリー・スミノフ氏が付いており、病院でのケアが必要な場合の対応について彼がどこまで関わっていたのか、保険未加入であった責任は誰にあるのかも含め詳しい調査が必要なようだ。
今回の会見では、ESEEはブラダさんが過労死したことを否定しており、病原菌が血液の中に侵入して起こる全身感染症の敗血症を起こしていたなど死因は多数にわたるとしている。ESEEの創業者は「ブラダさんが中国に滞在した60日間で、こなしたイベントは16本、一日の労働時間は2時間から8時間であった。2日間だけは10時間勤務があったものの、きちんと休憩はとっていた。モデル業は決して過酷ではない。今後未成年のモデルに関してはコミュニケーションを密にしていく」と語ったが、契約書に労働時間を明記していなかったことを認めている。一方ロシアでは、ブラダさんのような未成年は1週間の労働時間が3時間を超えると違法になるという。
ESEEの広報担当者は「モデルは文化的事業の一種であり、中国では未成年のモデルを採用することは違法ではありません。ESEEでは約50人の外国籍のモデルがおり、そのうちの半分はロシア出身で3か月契約でやってくることがほとんどです。16歳未満のモデルは2人のみです」と述べた。