1年間に1人当たり89ポンド(約40キロ)もの鶏肉を食べるというアメリカ。フライドチキン、チキンナゲットにBBQと安くて手頃な鶏肉は大人から子供まで大人気である。しかし安い鶏肉供給の裏側にある、生産者側の過酷な労働環境を『oxfamamerica.org』が公表した。
貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を展開する非営利組織『オックスファム・アメリカ』は2013年から3年間、アメリカ国内における鶏肉処理の60%を占めるという米大手4社の労働環境について調査を行った。調査報告書は「トイレ休憩を拒否された鶏肉処理会社従業員」と題され、労働環境の改善を訴えている。
オックスファムのインタビューに、ある従業員は「私たちは生産ラインで流れてくる鶏を1分間に40羽、2秒で1羽以上のペースで処理します。生産効率を高めるため手を休めることはありません。肩と肩がぶつかるような狭い中で、同じ作業をひたすら繰り返します。“いかに安く鶏肉を供給することができるか”が優先され、従業員へのケアはなおざりにされている状況です」と証言する。水分を控えることはもちろん、多くの従業員がオムツを着用して生産ラインに立っているという。
また、ピルグリム・アラバマ工場の従業員は「昼休みは30分だけ。その間に着替えや食事、トイレを済ませるのです」と語っている。「5分間のトイレ休憩が認められているものの、5分では走って行かないと間に合いません。仕方なく作業着を脱ぎながら走るのですが、床は鶏の脂肪、血、水などで濡れており滑りやすいため非常に危険です」という声もあったようだ。
この報告書に対して、国立鶏肉協議会(NCC)は「真実であるかどうか疑わしい」と批判したが、一方でタイソン・フーズ(Tyson Foods)のスポークスマンは「これが事実であるならば憂慮すべき事態です。今後きちんとした対応がとれるように努めます」と述べている。
出典:https://www.oxfamamerica.org
(TechinsightJapan編集部 A.C.)