生涯の伴侶となるべき相手と結婚したかと思いきや、わずか3年で妻の支配欲にうんざりしてしまった男性。家族の誰にも告げずにひっそりと去り5年もの間、人気のない森の中でテント生活をしていたという。その後ホームレス支援施設に移り、現在は2度目の人生を楽しんでいる男性のニュースを『The Sun』『Mirror』などが伝えた。
今から10年前、英ハンプシャー州ファーンボロで暮らしていたマルコム・アップルゲートさん(62歳)は、結婚して3年になる妻に愛想を尽かした。
マルコムさんは25年間、地元で庭師として活躍していたが、仕事が増え家を空ける時間が多くなると、妻が怒り「仕事量を減らせ」と支配欲を見せるようになりうんざりしてしまった。
「もうこれ以上、妻とはやっていけない」―そう思ったマルコムさんは、妻はおろか自分の身内にも何も言わずに荷物をまとめて家を出た。はじめは自転車で“逃亡”していたが、途中オックスフォードで自転車に鍵をかけるのを忘れてしまい盗まれてからは、およそ3週間かけて徒歩でロンドンを目指した。
そうしてマルコムさんが辿り着いたのは、ロンドン南西部キングストンだった。市内にあるコミュニティーセンターで高齢者のためのガーデニングの仕事を見つけ、夜は近くにある森の中でテントを張り5年間も生活した。マルコムさんは当時のことをこのように振り返っている。
「キャンプ生活をしていたのは私の他に2人いました。でも森の奥深くまでやって来る人はおらず、誰も人が住んでいるなんて気付かなかったと思います。コミュニティーセンターで仕事をしていたので、そこでシャワーを浴びることもできたしそれなりに楽しんでいました。でもある日、(ロンドン南部グリニッチにある)ホームレス支援施設“Emmaus”を仲間から紹介され、早速面接に向かったのです。すぐにキャンプ生活をやめてその施設に移りました。」
現在も同じ施設で幸せに暮らしているマルコムさんは、妻のもとを去った理由をこう語る。
「妻は私が仕事を入れれば入れるほど、機嫌が悪くなり怒るようになりました。結婚して3年しか経っていませんでしたが私の手に負えなくなり、うんざりしてしまったのです。私はファーンボロでの庭師の仕事が本当に好きでした。今でもガーデニングは好きです。テント暮らしは楽しかったのですが、この施設で暮らすようになって第2の人生を与えられた気がします。」
マルコムさんはこっそりと身を消したことによって、この10年間自分の姉とも連絡を途絶えていた。しかし施設での暮らしが落ち着いた頃、姉に手紙を出すとすぐに連絡があったという。
「姉はこの10年間、私を捜していたようです。なにしろ私はその間、行方不明者になっていたのですから。亡くなった可能性が高いとも思っていたようです。でも私からの連絡を受けて涙を流して喜んでいました。今では姉と再会もできましたし、以前のように交流していますよ。」