盲導犬以外の犬の入店を禁止しているスーパーは多いが、他の動物ならどうなのだろうか。スーパーの入り口に「羊の入店禁止」となかったためペットの羊を連れて入店した男性がスタッフに出て行くように指示され、口論となった。英『Metro』などが北アイルランドで起こった珍事件を伝えている。
7月17日、アントリム州ポートラッシュにあるディスカウントスーパーマーケット「Lidl(リドル/本社:ドイツ)」に、ペットの羊“チョップス”の大好物であるダイジェスティブビスケットを買いに立ち寄ったアンドリュー・ダンリーヴィーさん(32歳)は、店内でスタッフから出て行くように指示された。
アルスター大学でビジネスを学ぶアンドリューさんが店内にチョップスを連れて入ると、他の客が笑みを見せるなど特に問題を感じた様子はなかった。「私はチョップスをバーや店などどこにでも連れて行きます。行く先々でみんなに可愛がられているし、これまで問題があったことはありません。つい先日も診療所に連れて行ったのですが、待合室まで医師がチョップスを見に来たほどです」とアンドリューさんは語る。
ところがその日は違った。スーパーの女性スタッフがやって来てアンドリューさんに羊を連れて出て行くように指示したのだ。アンドリューさんは喧嘩腰になり「店の入り口には犬の入店禁止のサインがあるけど、羊のポリシーはどうなのか」と尋ねたところ、スタッフは「そんなものはない」と答えたという。そこへ別のスタッフが来てチョップスの頭を掴んだため、アンドリューさんはますます不快になった。
「『店に置いてある商品を羊が食べてしまう』とスタッフは言ったけど、チョップスはそんなことはしません。だから私はつい怒鳴ってしまったんです。店に立ち寄る前に数缶ビールを飲んでいたこともあったし、チョップスが傷つけられるのが我慢ならなかったので、つい強い口調になってしまいました。そうしたらスタッフは無理やり私とチョップスを店の外へ連れ出したのです。」
アンドリューさんは数人のスタッフから地面に押さえつけられた。誰かがチョップスが逃げないようにとリーシュで繋いでくれたようだが、飼い主が目の前でされている行為を心配したのか、チョップスは「メェメェ」と鳴いていたという。
この出来事は目撃者によってSNSに投稿され数時間後には拡散、アンドリューさんは自宅にやってきた警察官に暴行容疑で逮捕された。後にアンドリューさんは「どうやって警察が私の住所を知ったのかはわかりませんが、まぁこの町で羊をペットに飼っているといえば私ぐらいでしょうから、見つけるのにさほど苦労はなかったのでしょう」と話している。
事情聴取を受けたアンドリューさんは拘束されることはなかったが、警察から北アイルランド全てのリドルへの入店と店のスタッフに話しかけることを禁じられた。「私とチョップスがスタッフから受けた対応に苦情を訴えることさえできませんでした」とアンドリューさんは不満そうだ。