米マサチューセッツ州ボストンの地下鉄で、乗客の女性が首に巻いて連れていたペットのヘビが先月7日から行方不明になっていたが、約1か月が経過した今月3日、ヘビは無事地下鉄車内で保護され飼い主の元へ帰った。(写真=4日米ボストン・グローブ紙電子版より)
このヘビの飼い主はメリッサ・ムーアハウスさん(30)という女性で、ペットのメスヘビ「ペネロペ」は3フィート(約91センチメートル)の長さ、マダガスカルなどに棲息する”デュメリルボア”という種属。
事件は先月、メリッサさんが愛するペネロペを首に巻き、マフラーの下に隠れた状態で、通称「T」と呼ばれるボストンの地下鉄「レッドライン」に乗車しているときに起きた。ペネロペがメリッサさんの首からすり抜け、逃げ出してしまったのだ。メリッサさんは「ペットのヘビが行方不明になった」とすぐに届け出た。ペネロペは毒ヘビではないものの、もし車内でヘビが見つかったら乗客がパニックに陥るだろうと判断した地下鉄側は、2度電車を停め座席の下などを中心に車内を捜索したが、ペネロペは見つからなかった。
メリッサさんと彼女の夫は、ペネロペはもう戻ってこないかと思い落胆していた。しかし一方で、この種属のヘビは食料がなくても、ある一定の温度さえ保った環境なら長く生き延びられるというデータがあることから、生存に一縷の望みをつないでいた。
そして捜索に光が射したのは、今月3日。地下鉄内でヘビを見かけたという乗客の連絡があったため、駅側では電車を停めてペネロペを捜索することに。目撃の連絡があってから8時間以上が経過しても、一向にペネロペは見つからなかったが、そこで捜索に参加していて自らもヘビを飼っているシャロン・リンチさんという女性車掌が、事態を急転させた。同じヘビ・オーナーの鼻を利かせ、車掌車両の後ろにいたペネロペをとうとう発見したのだ!見つかったのは、ペネロペが1月に行方不明になったのと同じ、6両編成の車両の中だったという。
地下鉄を運営しているマサチューセッツ湾交通局MBTAは、地元TV局の取材に対し「夜にも車両の暖房を切らないようにしているので、それがペネロペ生還の決め手になった」と語っている。飼い主のメリッサさんは「ペネロペは、ヘビで言うとティーンエージャーにあたる年頃になって来たみたいで、前よりちょっと冒険心が旺盛になってきたんだと思う。」と語っている。
MBTAでは、ラッシュアワーのピーク時間帯でなければ、盲導犬などサービスアニマル以外のペットでも、車内に同伴して構わないとしているそうだが、そのおおらかなルールのおかげで、今回のようにヘビが車内をうろうろすることになろうとは、まさか想像もつかなかったに違いない。当然、飼い主のメリッサさんにもおとがめはなかったようで、これからペット持ち込みのルールを厳しくする、という気配もない様子。
しかも、メリッサさんは地元ボストン・グローブ紙の取材に「これからもペネロペを連れて公共の交通機関で外出したいと思うが、今後は逃げないようにもっと注意を払うようにする」と語っている。これだけ人を騒がせておいて、まだ飼い主が懲りてないところにたじろぐが、今後地下鉄内で逃げ出す珍ペットが増えないことだけを祈りたい。 通勤電車の座席の下からヘビがにょろろ~なんて、想像しただけでちょっとコワい。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)