荒れた人生を歩んできた19歳の男性が「恋人や生まれた子供と一緒に過ごしたい」と願い、まともな生活を目指して就職活動を始めた。ところが顔の半分にあるとんでもないタトゥーのせいで仕事が見つからないという。『NZ Herald』や『The Sun』など複数メディアが伝えている。
ニュージーランド、オアマル出身のマーク・クロップさん(19歳)は6歳の頃から子どものケアと保護のための施設「子ども青少年家庭局(CYF)」への出入りを繰り返し、11歳には学校を退学させられた。その後はドラッグや酒に溺れ、ついには一緒に住んでいた両親から臨月の恋人とともに追い出されて住む場所を失った。
17歳だった2015年、マークさんは恋人と生まれてくる子どもとの生活資金を得るために、友人と観光客に偽の大麻を売るという詐欺を働く。荒稼ぎしようとしてナイフで脅したため、悪質な強盗罪および凶器を用いた襲撃、意図的な破壊行為や窃盗などの容疑でクライストチャーチの刑務所に服役した。しかしマークさんの刑務所暮らしは、他の服役囚らからいじめの対象になるなど厳しいものであった。そんな時、同じ刑務所に服役していたマークさんの兄から「顔にタトゥーを彫れば、周りを威嚇できる。派手なタトゥーがある奴には誰も近付かない」とアドバイスされた。
昨年末ごろ、マークさんはタトゥーに必要な針やインクなどを不正に入手し、服役中の身でありながら酒を飲み、酔って顔下半分に大きく「DEVAST8(devast=破壊の意)」とタトゥーを彫った。
しかしマークさんが「こんなに大きくするつもりなどなく顎に沿って小さく入れるはずだった」と派手なタトゥーに後悔している素振りを見せたため、民間公益団体らが無料で除去することをオファーした。だがこの時、現実社会の厳しさがまだ把握できていなかったのか、せっかくの申し出をマークさんは拒否した。
その後、服役中に出産した恋人は娘の親権を奪われ、今のマークさんは彼女とサウスオークランドのタカニニにあるキャラバンパークの緊急宿泊所に暮らしている。7月12日にCYFで暮らす娘と面会して以来、3人で一緒に暮らしたいという気持ちがより一層湧いた。そのためには仕事を見つけなければと就職活動に励んだが、派手なタトゥーと前科があるマークさんを雇うところは見つからない。
職業安定所にも出向いたが、職員から「私ならそんなタトゥーをしているあなたを採用しない。あなたの顔をじっくり見るまでもないでしょう」と冷たく言い放たれ、周りからは失笑が起こったそうだ。「俺はギャングではない。普通の人間だ」と主張したいマークさんは、オークランドの職業案内のFacebookに窮状を訴えた。
「顔のタトゥーで批判されるけど、僕は普通の人間です。見た目で判断しないでほしい。」