昔と今では子育ての仕方も違うとはいえ、子供への虐待が許されるはずはない。このほど1969年~1985年の16年間にわたり、5人の子供らを監禁・虐待したとして逮捕された70代老夫婦の裁判が行われ、悪魔のような所業を続けた2人には合わせて21年の懲役刑が科せられた。英紙『Daily Express』をはじめとする複数のメディアが伝えている。
英ロンドン北部に住むヴァレリー・スタナード(73歳)と夫ロイ(74歳)は、5人の子供を地下室に監禁し、虐待を負わせるという生活を送っていた。
このたびの裁判では、長年虐待や性的暴行を受け続けて来た子供たちにとって決して消えることのない悪夢の日々が新たに記憶に呼び起こされ、相当辛い思いをしたに違いない。今は成長した被害者の1人が「私たちは生きていたのではなく、ただ存在していただけでした」と語るほど、スタナード夫妻の虐待は残虐を極めていた。
当時、男児の1人はストーブの火に手を押し付けられたリ、火のついた紙を着ていたパジャマに詰め込まれたりする激しい身体的虐待を日々受けていたという。また女児の2人は、ロイの命令により裸にされるなど性的虐待の被害にも遭っていた。一番年下の幼児は「泣いたから」という理由でハイチェアに縛り付けられ、飼い犬と共に戸棚に閉じ込められて監禁された。
子供らは頻繁に竹の杖やベルトで打ちのめされ、食事も満足に与えられることはなかった。ヴァレリーは牛乳瓶に子供たちがどれだけの量を飲んだのか印をつけており、余分に飲んでいることを知るとその都度子供たちを虐待した。一方でロイは、ドアに男児を吊るし窒息させようとしたり、拳で殴ったりしていたという。
誰かが「罰」を受けている姿を他の子供たちにも見せつけていた夫妻は、殴る理由を見つけては日々残酷にも虐待を続けた。しかも女児らには家事をさせ、まるで奴隷のように扱っていたことが裁判で明らかとなっている。
ヴァレリーは地域の児童福祉課スタッフが訪問する時に限って子供らの服を借りたり買ったりしては小奇麗にさせ、用が済むと店に返却していた。虐待行為を隠し通すことに非常に長けていたという。そのため警察が捜査に介入したのは2014年になってからのことだった。