GoProカメラには、信号待ちをしていた1台の白いバンとその左横に停まっていた自転車の女性が映し出されている。バンの助手席にいる男が自転車の女性に向かって「俺の電話番号いる？」とからかってきたので、女性は「いらないわ」と冷たく言い放ち「あっちへ行け」とバンの横側を叩いた。すると助手席の男は女性に逆切れし「女らしくない奴だな。どこの学校でそんな態度習ったんだよ、このババア。生理中かよ」と暴言を吐いた。

そしてその後もまだ懲りずに「飲みに行こうぜ」と女性の肩に手をかけたため、女性は男の手を振り払った。男は何度も女性の肩や腕部分を触るというセクハラ行為を働いていたが、信号が変わったためにバンを発進させた。すると自転車の女性はバンを全力で追いかけた末に前方の路肩に停まっていたバンを見つけると、右のサイドミラーを思いきりねじりあげ外して地面に叩きつけたのだ。その様子を見ていたバイクの男性は、女性が去った後にバンのドライバーと助手席の男に向かって「ざまあ見ろ、クズ野郎ども！」と言い放ち走り去った。

この映像がメディアに投稿されると、「よくやったわ！」「こんな風に女性を扱うなんて最低の男だ」「車の男たち、起訴されるべきよ」という女性の反撃に対する称賛の声や、「運転手はちょっとからかっただけじゃないか。そんなに深刻にとる方がどうかしてる、しかもミラーまで壊すなんて」「破壊行為をした女性の方が訴えられるべきでは？」と男たちを擁護する声が寄せられるなどネット上で多くの議論を生んだ。しかし同時に「はたしてこの映像は真実なのか」という疑問の声が沸き上がったのだ。

英紙『The Sun』では20日、トッテナムの路上でバンの男や自転車の女性らが演技指導を受けているところを目撃した人物がいたことを明らかにしており、この映像は「ヤラセ」であることが分かったのである。

目撃者のスコット・ディーンさんは、「バンの後ろを荒々しく追いかけて」と自転車の女性に指示する声を耳にしているほか、演技者と思われる女性らが数回現場で練習をしていた様子も目にしている。バンのサイドミラーもあらかじめ外れやすいように施されていたらしく、ネットやメディアで拡散された映像は演技者らの迫真の演技によるものであったのだ。

スコットさんは「場所が“王立演劇学校（Royal Academy of Dramatic Arts、通称RADA）”の前で行われていたので、学校関係者か何かだとてっきり思っていました。ネットで映像を見て驚きました」と話している。

物議を醸した映像が「ヤラセ」だと分かったユーザーたちの反応は言うまでもないだろう。

出典：http://metro.co.uk
（TechinsightJapan編集部　エリス鈴子）