ドラッグの中でも中毒性が高く乱用薬物ではトップに位置し「薬物の王様」とも言われるヘロイン。その経験者が揃って「この上ない多幸感」「人生最高の快楽」と口にする一方、禁断症状も激しく、長期化して使用している人は止めようとしても全身の骨が砕けるような激痛を味わうという。痛みを止めるためにまたヘロインに手を出すという悪循環でどんどん命を蝕んでいく。そんなドラッグ常習者が多く存在するアメリカ。このほど、オハイオ州のイーストリバプール警察がショッキングな写真をFacebookに公開し、波紋を広げている。
Facebookに公開されたのは、ヘロインを過剰摂取した意識不明の男女の写真だ。そして最も衝撃的なのが、この男女の乗っている車の後部座席に子供がいることだ。
イーストリバプール警察はFacebookで「気分を害される人がいるかも知れないが、現実を伝えることが必要だと判断した」と述べ、ドラッグに依存することがどれほどの危険性を伴うか、またどれほど子供に影響を与えるかを訴えている。
今月7日、同警察の警官が1台の不審なフォード車を発見。その車は、子供たちを降ろしていたスクールバスに接触しそうになるほどフラフラとした様子で走行していたという。職務質問するために、その車に近付いた警官は運転手の男が運転席で上下に頭を揺らし、話す言葉もままならないことに気付いた。
助手席には、すでに意識を失ってぐったりしている女の姿があり、運転席にいた男は「この女性を病院に連れて行く」と警官に告げた途端、車のエンジンを切ってキーを抜いた時に気を失ってしまった。そして警官は、後部座席に座る子供の存在を知ったのだ。
のちの調べで、運転していたのはジェームズ・アコ-ド(47)という男で、4歳の子供は助手席で気を失っていたロンダ・ペーセック(50)という女の息子であることが発覚した。救急隊員が現場に到着し、カップルはヘロインの過剰摂取であることが判明し、意識を失っていた女の太ももの間には使ったとみられるヘロインの粉も発見された。
男女は病院で手当てを受けたとされるが、4歳男児は児童保護施設に引き取られ、車を運転していたアコードには180日間の実刑判決、母親とみられるペーセックは子供を危険にさらした罪などで起訴され、9月15日に再び出廷することになっている。
イーストリバプール警察は「このようなことは、日常的に起こっていること」と述べ、今回の衝撃的な写真を公開したことについて「どんなに不快に思う人がいようとも、このような問題が無くなるまで我々は闘い続けなければいけない」と薬物による過剰摂取の撲滅に取り組む姿勢を見せている。
同警察のFacebookのアカウントには「警察は正しいことをしたまで」という意見もあるが、「子供の身分や顔は絶対に明かさないで。子供を守って」といった声も寄せられている。
今回のケースのように親が薬物に溺れた場合、犠牲になるのは必ず子供だ。薬物が常に身近にある環境で育った子供は、薬物への危険性に対する自覚も薄れる可能性がある。薬物依存、過剰摂取という悪の連鎖を生み出さないためにも、やはり社会への取り締まり強化が問われることになるだろう。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)