どの国にもそれぞれの文化がある。日本や北欧に捕鯨文化があるように、ニュージーランドにもマオリ文化が存在する。先住民マオリ族によって古くから培われてきたこのニュージーランドの伝統文化は、現在も狩猟やハカという伝統舞踊などが人々に伝えられている。そんなニュージーランドに住むある親子が、SNSで猛批判を受けたという。
英紙『Mirror』によると、批判を受けているのはホークス・ベイに狩りに行ったジョニー・ユールさんだ。ジョニーさんは、娘クロエちゃんが生後8か月の頃から抱っこ紐を用いて狩猟に連れ出していた。
そのクロエちゃんが8歳になり、ジョニーさんは初めて狩りにチャレンジさせることにした。クロエちゃんは見事に鹿を射止め、ジョニーさんはFacebookのアカウント「NZ Woman Hunters」に「ちっちゃな忍者姫が初めて狩った鹿を見てやってください」と娘が鹿の心臓を口にしている写真を投稿した。
「NZ Woman Hunters」は狩猟文化を伝統と重んじるニュージーランドの人たち(主に女性)によるハンターのためのアカウントだ。そこには多くの女性や子供が狩りで射止めた動物と誇らしげに撮影された写真が投稿されている。
最初の狩りで仕留めた獲物の心臓を食べることは、古くから伝わる儀式でハンターを称える意味が込められているという。しかしこの写真がFacebookに投稿されるとたちまち拡散し、ニュージーランド国内外からの批判が相次ぎ大炎上となってしまった。
ジョニーさんは「クロエは初めての狩りをとても楽しんでいた」と投稿し、クロエちゃん自身が言ったと思われる言葉も綴られてあった。「パパと狩りをするのが大好き。家族のためにお肉を持って帰れるし。おじさんが鹿の心臓を食べていたから、私も食べてみたけど結構おいしかった」という狩猟に対してポジティブな姿勢が見えるコメントであったという。
この投稿に多くの海外ユーザーが猛批判した。「NZ Woman Hunters」にはジョニーさん以外のハンターたちへの批判や、「サイコパス」「普通の人間のすることではない」「残酷な奴らだ」という悪質な言葉を投げかけるユーザーもいた。英紙でも報じられるとそこにも批判が集まった。
騒動を受けて「NZ Woman Hunters」の管理者はFacebookに以下のメッセージを綴り、海外からニュージーランドの伝統である狩猟文化を批判するユーザーらに反撃した。
「ここ数日、大変なことになっています。ニュージーランドの文化を理解していない人たちからの批判が相次ぎ、最も起こって欲しくないことが起きてしまいました。メンバーのみなさんは、どうかこういった海外からの批判を無視してください。批判する人も気に入らなければ見なければいいことであって、脅しや心無い批判コメントを書き込む必要などないのでは? 私たちはジョニーさんとクロエちゃんをサポートしています。私たちは自国の狩猟文化をリスペクトしているのです。」
アカウントでは、メンバーやニュージーランド国内の文化を重んじる人々が「狩猟文化」をリスペクトしサポートする団結精神を見せている。しかし今回の騒動以降、ジョニーさんの投稿はアカウントから削除された。
出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)