空港でアルコールを飲んだ者の多くはフライト中にもさらに飲酒する傾向にあり、トラブルを起こすことがたまにある。たいていは客室乗務員(以下CA)がうまくいなすものだが、この泥酔男だけはタチが悪かった。しかしそれを一瞬にして封じ込めたのは機長。「男らしい!」と絶賛の声まであがっていることを『washingtonpost.com』などが伝えている。
事件は先月21日、ケンタッキー州レキシントンからノースカロライナ州のシャーロットに向かったアメリカン航空の旅客機で発生した。シャーロット・ダグラス空港の到着ゲートに機体が横付けされたもののボーディングブリッジの設置がまだという中、マイケル・カーという25歳の男が立ち上がり出口に急ごうとした。泥酔していることは明白で、黒人の女性CAが「まだ着席していてください」と懸命に諭すが、まったく聞く耳を持たず毒づくカー。「その顎をぶん殴ってやる」と言い放つと腕と足を使って力づくでCAを押しのけた。
倒れて首と背中を痛めたCA。その瞬間、脇にいた機長が豹変した。「座りなさい」と強く命じても拒んだカーを押し倒し、その上に乗ったまま「いい加減にしろ。俺の大事なクルーに何をするんだ。彼女に触るんじゃない」と怒鳴りつけ、乗り込んできた空港公安署の警察官にカーの身柄を引き渡している。
カーは機長に向かって「お前(機長)のやったことを全部Facebookでバラしてやる。この負け犬め」などと罵り、逮捕時にはツバを吐きながら怒鳴り散らしている。機内ではジャックダニエルを3杯ほど飲んだというが、その泥酔具合は搭乗前にも飲酒していた可能性がありそうだ。世界のキャビンクルーで組織されている乗員組合の「Association of Flight Attendants (AFA-CWA)」は、この事件に関して以下のような声明を発表している。
「この事例が物語っているように、機内では飲酒した乗客によるトラブルが多発しています。また空港においても遅延やキャンセルで人々はバーに向かうことが多く、総飲酒量はかなりのものになります。業界全体で考えて行かなければならない問題であり、憂慮に耐えません。」
乗客のブライアン・コロン(23)さんが携帯電話で撮影したその様子が公開されると、話題は瞬く間に広まった。乗客乗員全員の命と安全を預かる責任者として強い使命感をみせたパイロットには「男らしくて素敵」との声が聞かれている。ただし、アメリカン航空の広報担当者は「ゲートに到着してもシートベルトのサインが消えるまでは着席が義務付けられています。その妨げになるような行為は断じて許されません」とするも、事件の詳細や機長の氏名を明かすことはしていない。なおシャーロットの拘置所に身柄を拘束されたカーは、設定された保証金25,000ドル(約253万円)を支払うことで保釈となっているという。
出典:https://www.washingtonpost.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)