数年前に登場し、知名度と人気を増しているある合成大麻。このほど米ニューヨークで使用者のうちの33名が深刻な副作用を呈し、それぞれに救急搬送されていたことが伝えられた。ニセ大麻についてはこれまでもその毒性が強く指摘されてきたが…。
ニューヨーク・ブルックリン区のある町で、ドラッグを摂取した者が一人、また一人と次々と倒れていった。彼らの手元にあったのは“Spice”あるいは“K2”などと呼ばれるニセ大麻。ひとつの町で1日に33名もの急病人が出るのは、悪質なものが出回り始めた証拠だとして波紋を広げている。
廉価で入手できるとあって、アメリカでは高校生の9人に1人が使用しているとも指摘されてきたこのニセ大麻。吸引タイプのほか、お茶出し用、スプレー用の液体としても販売されることがあり、欧米では純粋なマリファナに次ぐ普及率であるという。しかし使用者の体調が急変し、心拍数の急増、重度の幻覚による異常行動や興奮、自傷行動、せん妄、痙攣発作、腎障害、そして時には心臓発作などを起こすことがあり、その危険性はたびたび伝えられてきた。
そんな中、ニューヨーク市ブルックリン区のベッドフォード=スタイベサント周辺では12日の午前9時30分から午後8時20分の約11時間にわたり、この“Spice(K2)”を摂取したとみられる人々が相次いで道端で倒れて救急搬送となった。NY市消防局は「通報が続出した現場は非常に奇妙な光景。患者は呼吸困難を訴え、精神的にも異常をきたしていた」と説明。そして血液検査からドラッグ摂取を確認したNY市警は「33名は4つの医療施設に搬送されたが、患者はそれぞれ近い位置で倒れていたことから仲間であった可能性が高い」と述べた。その後、14名の患者が搬送された「ウッドハル医療センター」が患者はいずれも脱力感や無気力感が解消してから自宅に戻ったと発表。死亡した者はいないという。
彼らが摂取した薬物に含まれている物質や体調異変の原因については専門家が急ピッチで調査を進めているが、「国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse)」によれば、そうしたニセ大麻は店頭でもオンラインでも合法の商品として宣伝・販売されているとのこと。含まれている複数の化学物質が無断のうちにコロコロと変わっていくことは大きな問題であるという。この騒動を重くみたブルックリン区は「こうした問題は根絶が重要だ」として早速危険ドラッグに関するパンフレットを作成。住民への周知徹底を図りたいとしている。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)