米フィラデルフィアの静まり返った深夜の町で、銃を手に警察官との遭遇をただ待っていたとみられるその男。1台のパトカーを見かけると発砲しながら近付き、30代の警察官を射殺しようとした。犯人は米国に暮らすムスリムで、IS(イスラム国)の思想に強く傾倒している可能性もあることから捜査にはFBIも加わっている。
ペンシルベニア州フィラデルフィアで7日夜11時半ごろ、警察官がムスリムを語る男に銃撃される事件が起きたことを地元のメディア『philadelphia.cbslocal.com』が伝えている。撃たれたのは33歳のジェシー・ハートネットさん。威嚇も含めて発砲は13回にわたり、ジェシーさんは臀部ほかに3発被弾したが、搬送先の「ペン・プレスビティリアン・メディカルセンター」によれば幸い命に別状はないもようだ。
現場はペンシルベニア大学から6kmほど西となる60th/Spruce Streetsの交差点。通りに設置されている監視カメラの映像では、パトカーの左脇に白い服を着た男が走って近づき、発砲してすぐに去ったもののジェシーさんが撃ち返して男の足に命中、ほどなく逮捕となった。男は現場のすぐ南の町エイドンに暮らす30歳のエドワード・アーチャー。発砲の前にはジェシーさんに「これには宗教的な意義がある。我々が従うコーランの教えはお前たちとは相容れない」などと話したという。
フィラデルフィア警察本部長のリチャード・ロス氏は記者会見において、使用されたのは2013年10月に盗まれた警察の9mm拳銃であったことを発表し、事態を非常に重く見ている様子。また被弾した本人が無線で「男に銃撃された。出血がひどい」などと本部に連絡したことも明らかにした。またジェシーさんの父ロバート・ハートネット氏は会見で「息子の逞しさ、気丈さを心から誇りに思う」と述べている。
こうした事件が起きれば米国在住のムスリムの立場はさらに悪くなっていく。フィラデルフィアのムスリムコミュニティは素早い対応をとっており、代表としてBilal Quayyum氏が「事件を起こしたアーチャーを強く批判する。暴力的な行為やそれをけしかけたりする者は非常に情けない。警察官の1日も早い回復を我々ムスリムは心から祈っている」と述べた。現在、アーチャーの背後関係についてFBIが徹底的な調査を行っているという。
出典:http://heavy.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)