9.11アメリカ同時多発テロ事件の記憶も生々しく、イスラム系の一般市民に対して激しい嫌悪感を口にすることがある米国の人々。「イスラム国(IS)」の出現でその増幅が否めない中、ピッツバーグではこんな事件が起きた。市民に冷静さを保ち、卑劣で野蛮な行動は慎むよう呼びかけられている。
ペンシルベニア州ピッツバーグのメディア『KDKA2 News』が報じているところによれば、多くの市民が家族とともに感謝祭の夜を穏やかに過ごしていたピッツバーグのヘーゼルウッド地区で11月26日深夜、モロッコ出身のイスラム系というタクシー運転手(38)が客の発砲により重傷を負い、病院で治療を受けている。通り過ぎた車に合図をして事件を知らせるなど運転手は意識もしっかりとしており、命に別状はないもようだ。
タクシー運転手の説明によれば、彼は「リバーズ・カジノ」の前で1人の男を拾って告げられた目的地である男の自宅に届けたが、男は「財布は自宅にある」と言って車を降りると家の中へ入り、しかし手にライフル銃を構えて現れた。タクシーは逃げるため慌てて発進したが男は発砲。運転手は背中の上部に被弾したほか、タクシーのリアウィンドウが粉々に砕け散っている。
なおタクシーに乗車中、その男は運転手に「イスラム国(IS)」や運転手の生まれ育ちについて問い始め、パキスタン人かどうかを尋ねた後、イスラムの預言者ムハンマドを嘲笑するような言葉を口にしたとのこと。そのため「米国イスラム関係評議会(Council on American Islamic Relations)」は警察当局にヘイトクライムと呼ぶべきこの事件についての詳しい調査の必要性を訴えた。パリ同時多発テロ事件以来、米国でも罪もないイスラム教徒やモスクを襲う事件が急増しており、FBIも目を光らせるようになっているが、司法省による迅速かつ然るべき対応が必要との声が多くあがっている。
※ 画像はpittsburgh.cbslocal.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)