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writer : tinsight-yokote2

【海外発!Breaking News】放火予告に豚の頭も! 英米、市民レベルでムスリムいじめが激化。

冷酷きわまりないパリテロ事件を経て、イスラム教徒(以下ムスリム)に対する憎悪や警戒心が強くなっている欧州の人々。またワシントンD.C.が次のテロの標的と名指しされたこともあり、アメリカも他人事ではない。多民族が暮らすニューヨークでもやはり市民レベルでのムスリムいじめが勃発して逮捕者も出ている。気になるそんなニュースを英米から1つずつ紹介してみたい。

まずは米メディア『nydailynews.com』の記事より。20日午後8時半ごろ、NYブルックリン区のベッドフォード=スタイベサントにある“NBA Deli”というデリの前で、ヒジャブという布で頭を覆って歩いている2名のムスリムの女性に男が近づき、「尻の穴を拭くボロ雑巾みたいだ」などとムスリムを冒涜する言葉とともに、「お前たちの通うモスクを全焼させてやる」と脅して何度もツバを吐きかけた。彼女らが店の中に逃げ込んでも嫌がらせは執拗に続いたという。

女性からの被害届をもとに24日朝に逮捕されたのはデイントン・コリーという33歳の男で、「U.S. Postal Service」のユニフォームを着ていたとおりアトランティック・アベニュー郵便局の職員であった。女性の1人はベビーカーに乗った赤ちゃんを連れており、幼い子を前にした脅迫及び暴力的な行為にコリーは厳しく罰せられるもようだ。

人種のるつぼであるニューヨーク市では近年、実は宗教や人種差別に基づくヘイトクライム(憎悪犯罪)事件がかなり少なくなっていた。市警が発表したデータによれば、2014年11月15日から今月13日までの約1年間に発生した反イスラム教関連の事件は13件で、その1年前の23件より43%も減少している。しかし先のパリ同時多発テロ事件を経て、過激な人々の間でアンチ・ムスリムの動きが活発化していることは否めない様子だ。

続いては英メディア『dailystar.co.uk』が伝えているニュース。英ウェスト・ヨークシャー州リーズのアームリーという町のある精肉店が、「こんな人種差別主義者に出会った」と1人の男性客の話題を提供した。身なりもきちんとしたその男性は、入店すると「豚肉が欲しい。ベーコンでもいいが頭と足は全部買いたい」と注文したそうだ。これで何を作るのかと尋ねると、男性は「ムスリムは豚を嫌うからね。あちこちのモスクにこれを持っていく」と鼻息を荒くして答えたという。不安を感じた店主は市議会議員に電話で相談し、議員はムスリムコミュニティ安全フォーラムのカウザー・ジャン会長にその旨を連絡。そのため各モスクの責任者にも、万が一の際には冷静な対処をと呼びかけられたものと思われる。

同州での反イスラム教関連のヘイトクライム事件の数は、実はニューヨーク市の比ではない。今年6月以降の5か月間に75件も発生しており、それより手前8か月間では40件であったことを考えると、確実に増加しているとのこと。たとえばリーズのこの店主は危機感を持って対処した例であるが、モスクの前に豚の頭を置くなどというとんだ冒涜行為を働いたがためにトラブルに発展し、大きく報道された場合は町全体がテロの標的になりかねない。この時期だからこそ、市民も良識や冷静さを欠いてはならないのである。

最後にジャン会長は「伝統的なスタイルゆえ、ムスリムの若い女性がいわれのないいじめに遭うことが多くなり、ヒジャブを頭に被って外出することを怖がるようになってきました」と彼女たちの苦悩を訴えた。だが皮肉なことに「恐怖という意味ではどっちもどっちだ」という声も強まっている。過激派組織「イスラム国(IS)」の出現以来、彼女たちを見ると“爆弾ベルトを巻き付けていないか”とつい警戒するという人も世界各地で残念ながら増えているのが現状だ。罪のないムスリムが堂々と街を歩ける平和な日が一刻も早く戻ってくることを祈らずにはいられない。

※ 画像はnydailynews.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)