実の親のせいで子供の人生や人格がゆがめられてしまうことを意味する「毒親」という言葉。血のつながった親であれば無条件に愛すべき、一緒に過ごすべきと考えることが難しい家庭も中にはある。米オハイオ州で、父親を殺して服役中の母親がもうすぐ出所と知った10歳の長男が、判事に「怖い」と訴える手紙をしたためたことから関係者らの間で波紋が広がっているもようだ。
事件は2009年1月にオハイオ州ウォーレン郡のミドルタウンで起きた。子供たちをこよなく愛するよきパパであったロバート・タイカッシュIIさん(当時25歳)の胸をステーキナイフで一突きし、殺害した妻のシャノン・スミス。それから6年、死亡したロバートさんの母で祖母にあたるパトリシア・トッドさんに育てられてきた子供たちは、心の中で母親を忌み嫌い、彼女が出所して自宅に戻ることをひどく恐れていたようだ。
懲役10年を言い渡されながら、6年近くの服役をもっていよいよスミスに出所が見えてきたことを知った長男のブレイディン・タイカッシュ君(10)は、仮釈放のためのヒアリングが11月4日に行われるにあたり、ロバート・ピーラー判事に以下のような内容の手紙を宛てたことを同州のメディア『WLWT News 5』が独占的に伝えている。
“親愛なるピーラー判事さん。僕は4歳だった時、ママがナイフでパパの胸を刺して殺すのを見てしまいました。その時、妹はパパの腕に抱かれていました。ママはそのナイフを引き抜いてキッチンのシンクで洗い流していました。その恐ろしい光景がどうしても忘れられません。”
“僕も妹もそれ以来、どんなことも楽しいと思えなくなってしまいました。ママさえパパを殺したりしなければ、僕の人生は10倍も楽しかったはずなのに…。僕はママが怖いのです。ママはこのままずっと刑務所にいて欲しいと思います。”
2010年にスミスに有罪判決を言い渡した際、ピーラー判事は主文で「暴力的なスミスの蛮行のせいで、この法廷に集まった両家の家族は誰もが深く傷つき、苦しみ、4世代にわたり穏やかな人生を奪われたも同然です。その悲劇は言葉で表しようもありません」などと告げていた。
※ 画像はnydailynews.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)