10月16日にスタートしたTBS系ドラマ『コウノドリ』で、 健診を受けず妊娠週数も不明という未受診妊婦を演じた清水富美加。不幸な生い立ちを背負い、肉親や子どもの父親も立ち会うことなくたった一人で出産した夏希。清水はこの女性を演じるにあたって「難しい役だからできるかわからない」と悩んでいたことをブログで明かした。
TBS金曜ドラマ『コウノドリ』の第1話は、ネットカフェで暮らしていた未受診妊婦がドラマの中心となった。近年増加傾向にある未受診妊婦は飛び込み出産となるケースも多いが、週数不明、合併症不明など様々なリスクがあり受け入れを拒否する病院も多い。清水富美加演じる夏希は、ネットカフェで腹痛を訴え破水し緊急処置が必要となった。救急車を要請したものの搬送先が見つからず、やっと受け入れてくれたのは産科医・鴻鳥サクラ(綾野剛)が務める総合医療センターであった。
実母から「お前なんて、生まなければよかった」と虐待を受けて育った夏希。若くして家を飛び出した彼女は、愛する男性に出会ったものの借金を抱えていた彼のために風俗で働く日々。やがて彼女は子を身ごもるが、男性は「俺の子どもなのか疑わしい」などと罵り夏希のもとを去ってしまう。
帝王切開で無事に女の子が誕生したものの、我が子と対面したのは出産直後のみ。初乳を与えることも、その胸に抱くことさえ夏希は拒否した。貯金どころか借金もあるのに、乳児を抱えてどうやって生活していけば良いのか。病院のソーシャルワーカーから「生活を立て直すために一緒に頑張りましょう」と励まされても、夏希の表情は硬いままであった。退院後は生活基盤が安定するまで、赤ちゃんを乳児院に預けることとなり、夏希はソーシャルワーカーと一緒に彼女を受け入れてくれる支援施設に向かった。
10月17日の『清水富美加オフィシャルブログ「あのさ.」』には、『コウノドリ』の撮影を終えた清水の正直な感想が綴られている。役作りのため専門家や番組スタッフと話し合いを重ねた彼女は、かなり明確な目的を持って現場に臨んだという。それはドラマの中で必死に苦しむ自分の姿を見て、夏希やこころちゃん(夏希の産んだ女児)のような人が1人でも少なくなって欲しいという願いであった。一方で、彼女は「個人的には、夏希は自分の赤ちゃんを迎えにこれないと思ってます」と述べている。未受診妊婦が出産後どのような生活を送っているのかを聞いた彼女は、「支援団体のサポートがあっても、立て直せなかった、親にはなれなかった、元の生活に戻ってしまう」ケースも少なくないことを知り、夏希を演じることの方向性が心の中で決まったようだ。
サプライズな展開が起こり、最後は我が子を抱いて笑顔で退院するといったハッピーエンドではないドラマだった。清水もブログで「自分の中ではあまり綺麗な物語ではなかった」としながら、サクラのような先生がいるならば“捨てたもんじゃないな”という希望が持てたそうだ。また今回の夏希役は、“女優としてやり甲斐のある、貴重な経験をさせていただけた”とドラマスタッフに向けて感謝の意を表している。
※画像は『清水富美加オフィシャルブログ「あのさ.」』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 みやび)