マレーシアの首都クアラルンプールで今月29日と30日、有名市民団体が週末の大規模なデモを予定している。「このデモに参加しようとする華人系マレーシア人には危害を加える」といった内容のビラが出回っていることから、在マレーシア日本国大使館では今、偶然そこに居合わせる可能性のある日本人たちを対象に緊急で注意を呼び掛けている。
今月21日、在マレーシア日本国大使館は公式HPの「領事情報」にて、以下のような内容で日本人向けの注意喚起を行った。
“8月29日(土)、30日(日)、クアラルンプール市内中心部で市民団体「Bersih」が大規模デモを計画しており、31日の「マレーシア独立記念日」の直前であることから市内交通等に大きな影響が及ぶものと予想する。各種ニュースをよく視聴し、情勢収集に努めて頂きたい。”
“デモにおいてはしばしば外国人観光客が参加者と勘違いされ、警察官から職務質問を受けたり任意同行を求められることがある。興味本位でデモや集会に近づいたり、その様子を携帯電話等で撮影しないよう気を付けるべきである。”
続いて28日付の「第2報」では、さらに踏み込んだ内容が伝えられた。華人系とは中国系の人々のこと。外見上、どうしても日本人は誤解されやすいことに注意が必要であるようだ。
“依然、情報が錯綜している状況にある。デモの集合場所は市内のSOGO、National Mosque、Pasar Seni、 Brickfields、Dataran Maybankの5か所、行進の先はDataran Merdekaになると主催者側は発表。しかし彼らの反体勢力が29日に対抗のデモを開催するとし、その後延期を発表したものの、デモに参加する華人系マレーシア人には危害を加えるとのビラが出回っており、不測の事態も懸念される。”
“特に29日について事態が急速に変化(悪化)するおそれがあるもよう。人々が集まっている場所やスローガンを叫んでいる現場に近づかないよう注意して頂きたい。なお「Bersih」支持者の多くが黄色のTシャツを着用し、反「Bersih」派は赤色のTシャツを着用するとみられている。衣服については誤解を避けるためにもこの2色を避けた方がよい。”
政権交代というより、むしろ公正な選挙を求めて野党側とともに闘っている市民団体の「Berisih」。彼らの数万人規模のデモは以前から時おり行われており、毎度、マレー語で独立を意味する「Dataran Merdeka(ムルデカ・スクエア)」という大広場に結集する。そんな彼らを警察当局は有刺鉄線とバリケード封鎖で待ち受け、群衆に向け容赦なく催涙ガスを噴射することから一触即発の危険性を常にはらんでいる。ビジネス、駐在、旅行、いずれにせよクアラルンプールに滞在の方はくれぐれも気を付けて頂きたい。
※ 画像は在マレーシア日本国大使館(http://www.my.emb-japan.go.jp/Japanese)のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)