今秋(10月22日から31日まで)開催される第28回東京国際映画祭の記者会見が28日、東京・六本木ヒルズにて行われた。オープニング、クロージング作品、国際交流基金アジアセンターとの共同事業として新たに企画された“アジア・オムニバス映画製作シリーズ”『アジア三面鏡』の概要や特集企画が発表された。『アジア三面鏡』からは行定勲監督をはじめフィリピンとカンボジアの監督も登壇し、作品にかける熱い思いを語った。
今年は昨年より1日長い10日間の日程となり、エリアも拡大して新宿でも開催される東京国際映画祭。先週末アニメーション特別企画においてアニメの金字塔「機動戦士ガンダム」の特集上映が決定したことも発表され、注目を浴びている。
まず東京国際映画祭(TIFF)椎名保ディレクター・ジェネラルが今回の映画祭の趣旨について「今年で30年を迎える東京国際映画祭。昨年から映画祭の方向を見直し、映画ファンだけではなく一般の方にも楽しんでもらえるものを目指したい」と語った。
“アジアの未来”として「映画祭が映画をつくる」と語った椎名氏の言葉の通り「映画を紹介する次の段階にきている」と石坂健治プログラミング・ディレクターも言葉を添えた。また、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作するプロジェクト『アジア三面鏡』の3か国(日本、カンボジア、フィリピン)の監督が登壇し、昨日会議で話しあったばかりの3名(行定勲、ソト・クォーリーカー、ブリランテ・メンドーサ)が本企画にかける思いを熱く語った。
日本からは『世界の中心で、愛を叫ぶ』で名を馳せた行定勲監督が、「2人とやれることは刺激的。自分がすごく影響を受けて常に目標にしてきたのが刺激的なアジア映画。昨日の会議にて自分たちが作りたい映画を出してくるパワーや情熱をすでに感じた。まず彼らがどんな自由な作品を披露できるか潤滑油になれればいい」と思いを明かした。「それぞれのオムニバスがひとつの繋がりになることは初めて」だと語る行定監督。日本での撮影を予定していると聞き「僕はどこで撮ればいいのかな?(笑)」とおどけてみせた。
「海外で撮るということはその国の映画スタッフとの共同作業や映画人同士の交流もできたらいい」と話す行定監督は、過去の韓国、中国での撮影を振り返り「トラブルがたくさん。トラブルだらけ。ものすごく大きなトラブルや思い通りにいかないこともあったが、だんだん麻痺して(やがて)トラブルは自分の糧になり、自分が今まで言い出せなかった奥底にあるものを引き出してくれる。その部分を期待しながら体当りでやりたい」と意気込みを語った。完成は来年予定。
第28回東京国際映画祭
審査委員長:ブライアン・シンガー(監督、脚本家、プロデューサー)代表作『ユージュアル・サスペクツ』『X-メン』『スーパーマン リターンズ』
オープニング作品『ザ・ウォーク』ロバート・ゼメキス監督、ジョセフ・ゴードン・レビット
クロージング作品『起終点駅 ターミナル』篠原哲雄監督、佐藤浩市、本田翼、尾野真千子
(TechinsightJapan編集部 うめ智子)