お笑い芸人が出演するサスペンスドラマ『容疑者は8人の人気芸人』が放送された。番組HPで投票を呼びかけた“真犯人予想”では設楽統(バナナマン)が最高得票となっている。真犯人はここでは明かさないが、本ドラマでストーリーをしっかりと引っ張ったのは木南晴夏ではないだろうか。ほとんどが芸人たちによるキャストの中で、女優とはいえ彼女の演技がドラマを引き締めてテーマをしっかりと伝えたことは高く評価できる。
フジテレビで4月18日に放送された土曜プレミアム『容疑者は8人の人気芸人』は、お笑い芸人が本人として登場するサスペンスドラマだ。バナナマン・日村勇紀の命を狙う容疑者として宮迫博之(雨上がり決死隊)、博多大吉(博多華丸・大吉)、設楽統(バナナマン)、バカリズム、伊達みきお(サンドウィッチマン)、徳井義実(チュートリアル)、いとうあさこ、若林正恭(オードリー)の8人が浮上した。
木南晴夏はバナナマンのマネージャー・南役を演じた。彼女は日村勇紀が独自配信している“日村ちゃんねる”の撮影中に何者かに襲われて巨大水槽の中で水没する危機にあることを知り、警察に助けを求める。担当するのはカンニング竹山が演じるベテランの黒田刑事と、若手の二階堂刑事(和田正人)だった。二階堂刑事はお笑いが好きで、ネットで“日村ちゃんねる”をチェックしているが、一方の黒田刑事はお笑いに全く興味が無い。
お笑い芸人たちが番組収録でボケるところを見ては、「くだらんことばかりやっている」と舌打ちする黒田刑事。そんな彼に「みんな一生懸命やってるんです」と芸人たちが真剣にお笑いに取り組んでいることを訴えるのがマネージャー・南だった。黒田刑事の考えも少しずつ変化を見せて、やがて「あいつを死なせるわけにはいかない」と日村の命を救うために必死に駆け回る。
マネージャー・南は事件の発見者として物語を進行する役割はもちろんだが、「お笑い芸人が真剣に“お笑い”に取り組んでいる」という本ドラマのテーマに大きく関わっていく。また、「“笑顔”が苦手なのに周囲から『笑ってないとらしくない』と言われて葛藤した」と本音を明かして真犯人の心理を浮き彫りにするのだ。そして、ドラマとして伝えたいテーマを彼女から引き出すのに必要な役どころこそ、黒田刑事だった。
また、容疑者役の芸人たちは、俳優というよりも芸人として演技をしているように見えた。宮迫博之、設楽統、バカリズム、伊達みきお、若林正恭など思い当たるだけでもドラマ経験者が多いが、今回は意識的にコントをイメージしたのではないだろうか。そんな中で、博多大吉の真に迫った演技は説得力があった。制作側も彼が他の芸人のように特徴的なキャラクターを持たないところを見込んだのではないか。
バナナマンの日村と設楽の関係や、バカリズムがネットでイメージ調査をするところ、オードリー・春日が実はケチではないことなど、ドラマの設定のようでリアルのようでもあるキャラクターもおもしろかった。しかし、それだけではお笑いドラマで終わってしまう。そこを引き締めてダレずに進行したのが木南晴夏とカンニング竹山、そして博多大吉の好演と言えるだろう。
木南晴夏は放送後に、『木南晴夏(kinamiharuka) ツイッター』で「ご視聴ありがとうございました。なにが本当なんだろうね」とつぶやいている。彼女自身もマネージャー・南が抱えている悩みに共感するほど役になりきったのだ。
※画像1枚目は『twitter.com/kinamiharuka』、2枚目は『twitter.com/takeyama0330』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)