エンタがビタミン

writer : ume

【エンタがビタミン♪】<岩井志麻子インタビュー>自称「愛のかけらもない」平凡なおばさん。邪悪で正直な50歳の欲望が凄すぎる。

自称「岡山のめちゃくちゃ平凡なおばさん」作家・岩井志麻子。“平凡”“普通”という言葉がこれほどまでに似合わない人も珍しい。18歳年下の韓国人男性と結婚するも消息不明の今、探しに行った韓国で新しい愛人“キンちゃん”をゲット。自身の「波乱に満ちた人生」は普通であり「愛はかけらもない」と豪語する岩井にたぎる欲望について熱く正直に語ってもらった。

今、渦中の“中村うさぎ”が降板を発表した番組『5時に夢中』にレギュラー出演中の岩井志麻子。本番を終えたばかりの岩井にまず、波乱万丈の人生について話を聞いた。

<私、すっげー平凡なおばさん。主人の失踪なんて普通にあること。新しい愛人もいる>
――岩井さんの50年の人生は波乱万丈だと思うのですが。
■岩井:全然、そんなことないです。めちゃくちゃ平凡な、私すっげー平凡なおばさんだと思ってますよ。波乱万丈とか言うのだったら“愛新覚羅溥儀(ラストエンペラー)”くらいじゃないと。主人の失踪なんて大したことではないです。生きていれば普通にあることです。今は13年続いているベトナムの愛人に加え、新しい愛人“キンちゃん”もいます。

ロックアーティスト、Acid Black Cherry (アシッドブラックチェリー)(以下:ABC)の最新アルバム『L-エル-』では、波乱に満ちた女性を壮大に描いている。登場する女性“エル”は幼少期両親を亡くしたことから不幸の連鎖が始まる。男性に翻弄され続ける人生はまさに不幸と試練の連続である。

<普通の人がたまたま波乱に巻き込まれる>
――ご自身の人生は「普通」とおっしゃる岩井さんにとって、波乱万丈の人生とはどういうものでしょうか?
■岩井:そりゃあ、マリーアントワネットやエリザベス女王一世とか(の人生)ですね。“エル”さんも共通するところがありますが、元々普通の人なんですよね。極端に何か偏っているとかエキセントリックではない。たまたまそこで生まれて巻き込まれてしまった。“エル”さんも普通に好きな男と一緒になりたかったわけでしょ? みんな片隅の幸せが欲しいだけ。私、紅白の司会をしたいとかホリプロで和田アキ子になりたいなんて思ったことない。アイドルにはなりたいですけど(笑)。

<「愛」に対して否定的。「愛」は信じてはいけない>
――“エル”という女性の生き方や考え方に共感したりするところはありますか?
■岩井:ABCさんは「愛」を「欲望の言い訳にすぎないもの」「非常に儚いものであり、信じるものではない」と(私は言っているように感じます)。絶対この人は「愛」は美しいとか、「愛」が全てとか「愛」が救うとは思っていないと思いますね。むしろ、「愛」に対して否定的な人じゃないでしょうか。

<「愛」は恐ろしいもの。まやかし。「堂々と欲望と言え!」>
■岩井:だから「愛」って恐ろしいものだと思うのですよ。これが実は人の不幸の根源じゃないか?諸悪の根源は「愛」というものにあるのではないかと。みんな「愛」に夢持ちすぎ。「愛」を薄汚い欲望の言い訳に使いすぎだと思うわー。ただの“性欲”とか“独占欲”とか取引に「愛よ、愛よ」と言ったら何だか美しいものに変わっちゃうじゃない。ABCさんはそこを鋭く突いて、「愛」を信じるな「愛」はまやかしであると全編通して言っているのだと感じました。「堂々と欲望と言え!」と。その象徴じゃないですか? この(“エル”という)ばあさんは。

<「愛」のかけらもなし。全部欲望>
――岩井さんにとって「愛」とはどういうものでしょうか?
■岩井:「愛」なんてかけらもないです。全部欲望です。結婚も欲望です。ネタにしたかったし、やりたかったし(笑)。あまりにも正直なことを言うとみんなが「愛」がないって騒ぎだすんですよ。何で「愛」がなかったらいかんのー!

<欲望を正直に見つめることがライフワーク>
■岩井:私、めちゃくちゃ正直者じゃないですか? でもこれを言うと「あの人は愛を知らない」と責められるんですよ。欲望を正直に見つめることが私のライフワークです! 「愛」なんて言葉でざっくり誤魔化そうなんてことは絶対しないですよ。冷徹に欲望というものを見つめたいです。

<「愛」は空しいものと思う気持ちは同じ>
――岩井さんはABCに共感できるということですね?
■岩井:共感できます。ABCさんは私と違う方法で「愛」がいかに空しいものか、幻想にすぎないかっていうのをみんなに知らしめようとしているのですよ。私と仲間であると思います。肉を焼くか茹でるかの違いだけで焼く方が上等じゃ!なんて言っていないです。

――世間では「愛」ありき、「愛」ある世の中となっていますが。
■岩井:子供の時に『フランダースの犬』か何かで目が覚めたのだと思いますが。『L-エル-』にも通ずるものがあるけど、酷い話じゃないですか? だってネロ何も悪いことしてないのに、散々な目にあい、本人死んでしまうのです。最後の最後にルーベンスの絵を見たいと言って教会に行って天使が下りてくるのですが、ふざけんなよ、コラって(思いますよね)。はあ、これで終わり!? 下りてきた天使殴るね、私。ふざけんじゃねえ、金よこせ!って。「愛」より金だろ金みたいな感じで(笑)。

――睡眠中の女性を犯すという悪魔“INCUBUS”が歌詞に出てきます。孤独を感じ誰にも愛されないと感じた時、“INCUBUS”にも愛されたいと思いますか?
■岩井:“INCUBUS”って有名な絵があるんですよね。ぐったり白いドレスを着て寝ている女性の上に化け物がのっかってカーテンの向こうからも化け物が覗いているという。“INCUBUS”うちに来てくれんかなって思いますよ(笑)。

<岩井志麻子を独り占めしている時が至福の時>
■岩井:気の合う少人数の仲間といるのも大勢でワイワイしているのも楽しいのですが、私が何たって一番好きなのは岩井志麻子を独り占めしている時です。一人でいる時、部屋の中でウッキウキしてますもん! 今日は岩井志麻子とずっといられるんだと。岩井志麻子と何を食べに行こうかな、志麻子ちゃんと何話そうかな? 志麻子ちゃんをずっと独り占めできるんだと思うをワクワクしちゃうんですよね。楽しくてしょうがない、ときめいちゃいます。

<醜い邪悪な自分がたまらない>
■岩井:自分が大好きというのもあると思いますけれど、ナルシストというのは美化した自分が好きなわけじゃないですか? 素敵な私、カッコイイ俺様。(私は)違うんですよね。とっても醜い自分、ここまで汚くなれるか志麻子!っていうのが大好きなんですよね。ここまで卑しくなれるか志麻子―――!っていうのにうっとりしちゃうんですよね。こんな邪悪な奴はいないっていうのにたまらんわーとなるのです。

「愛」は欲望、「愛」はない。と豪語する岩井志麻子は、とにかく自分に正直である。誰しもがもっている欲望を美化することなく、心の声、魂をストレートに表現する。「欲望を正直に見つめることがライフワーク」、この言葉は岩井そのものである。また世界は違えど「愛」を唄うAcid Black Cherryのyasuと「愛」に対する想いは同じであるという岩井の鋭い指摘は、なるほどと感心させられる。心に響くセクシーなyasuの唄声を聴きながら「愛」についてじっくり考えてみては?

波乱の人生を送った一人の女性エル。「愛」をテーマに、その人生を綴った壮大なストーリーと絡み合うコンセプトアルバム!『L-エル-』平成27年2月25日(水)発売
(TechinsightJapan編集部 うめ智子)

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