息を引き取った母親を前に、銀行口座が親子の共同名義であったことを思い出した息子。彼はそんな母親を車イスに乗せ、慌てて銀行に飛び込み、全額引き出して逮捕された。いったいなぜ…。
預金者が亡くなると口座は凍結され、諸手続きによりそれが解除されるまでは、引き出しをはじめどのような取引もできなくなることをご存じであろうか。米ミネソタ州プリマスのデヴィッド・ヴァンゾという男が、間もなく91歳という母親のキャリル・ヴァンゾさんを車イスに乗せてウェルズ・ファーゴ銀行の支店に飛び込み、親子共同名義で作った850ドルの預金を下ろすことに成功したものの逮捕された。
“事件”は2週間ほど前にひょんなことから発覚した。ヴァンゾ家を訪れたあるソーシャルワーカーが、玄関にあったキャリルさんの靴が排泄物まみれで、全体的に悪臭が漂っていることから虐待を察して警察に通報。関係当局の家宅捜査が入ったところ、すでにキャリルさんは死亡していた。デヴィッドへの取り調べの中で親子が銀行の支店に出向いて預金を引き出していたことがわかったが、支店の行員や目撃者は「その高齢女性はタクシーや車イスの乗り降りにも非常にグッタリとしており、意識もなく足を地面に引きずっていた」などと説明。さらに捜査を進めた結果、母親は死後7時間で銀行に連れて行かれた可能性が高いとし、逮捕容疑は母親への虐待に財産搾取が加わった。
日本でも銀行、証券会社などの金融機関は、口座開設者の死亡を知った場合はその口座が凍結される。死亡の時点から預金は“遺産”となるため、たとえば通帳を預かっている一部の人間が勝手に預金を引き出すことを防ぐなど大きなメリットがある。だが一度凍結された口座を解除するには、戸籍謄本など様々な公的書類が必要となる。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)