このほど有名な生物科学雑誌に、ある種の小鳥に竜巻の到来を予知する能力があるという興味深い調査結果が発表され、話題を呼んでいる。
突然発生し、大変なスピードで駆け抜けてあっという間に地域一帯に壊滅的な被害をもたらす災害、それが竜巻である。近年、埼玉県や茨城県で大きな竜巻被害があったように、もはや“遠いアメリカでの話”などと言っていられないものがある。そのような中、アメリカの生物系サイエンス誌『カレントバイオロジー(Current Biology)』に、小鳥の竜巻予知能力について興味深い記事が掲載された。
“ある種の小鳥を観察することで、今後に起こり得る竜巻について早くから予報することが可能になるかもしれない”と発表したのは、カリフォルニア大学バークレー校のヘンリー・ステビー博士。その小鳥とは、アパラチア山脈を中心にカナダや米国の一部に生息するスズメ目の一種“golden-winged warblers”。彼らは竜巻の発生をかなり前に予測し、しかるべき方向に飛行して難を逃れる能力を持つことがわかったとしている。
鳥類の背にジオロケーター(鳥の移動経路を追跡するための小型装置)を装着することで、テネシー州東部で発生し35名の死者を出した84の竜巻に対する彼らの移動経路が調査された。すると、同州のカンバーランド山脈に生息するgolden-winged warblersが、竜巻が到来する24時間以上も前にそこを離れ、600km以上も離れたメキシコ湾に避難しているという事実が発見されたのであった。同博士はその理由として、golden-winged warblersの“低周波音にも反応する優れた聴力”を挙げている。
※ 画像はtheweek.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)