「世界の中心で、愛を叫ぶ」の行定勲監督の新作に、若手俳優として着実に実力をつけている三浦春馬が上海という難しい舞台で新たな才能を発揮した。三浦と行定監督の映画にかける熱い想いは映画を愛する学生の胸にどれだけ響いたのか?
冷たい雨が降る20日、東京・早稲田大学 大隈記念講堂・大講堂にて「第27回早稲田映画まつり」特別イベント<特別課外授業・国境を越える五分前>が開催され、映画『真夜中の五分前』の行定勲監督と主演・三浦春馬がゲストとして招かれた。モスグリーンの落ち着いた衣装で登場した三浦に、集まった大勢の学生から黄色い声援と共に嬉しい悲鳴があがった。
三浦は本作の出演について「行定監督と仕事ができる喜びと、明確なものではなく凄い深層部を考え、その中で繊細に描き表現できることがあるのではないかとワクワクした」と映画を受けた時の思いを嬉しそうに語った。上海を舞台にした本作では日本人キャストは三浦春馬ただ一人。「みっともない英語を使ってジェスチャーでコミュニケーションを取りながら撮影に臨んだ」と謙遜気味に明かす三浦だが、「通訳からは(中国語は)完璧で問題ないです。下手でいいのに、どうしてくれるんだよ(笑)」と行定監督から流暢すぎる中国語に逆ダメ出しされる場面もあった。
「監督の作品に対する熱意、僕らがやらないとダメなんだ。アジアで1本の作品を作らなきゃならない。生き様、思考、時間。監督の背中を追って行きたいと思った」とこの作品にかけた熱い想いを語る三浦に行定監督も「いいコメントです」と微笑んだ。
行定監督も「死ぬかと思うくらい苦労した」と体制の違いや言葉の壁など大変なことが多かった撮影を振り返るが、「やって良かった」「大変なことはやった方が面白い」「顔の表情がすごくいい。中国のスタッフはいつも笑顔。あの笑顔に救われた」と語った。三浦に関しては「三浦春馬にかけよう!」「日本人としての情緒、考え方、(三浦の)頭の中にあるものが出ればいい」と三浦へ期待していたことを明かした。
相思相愛の2人ならではの作品は観るものを唸らせることは間違いないであろう。「ゆっくりとした時間が流れている映画です。忙しい日々から抜け出して、映画館でゆっくり自分の時間を満喫して、愛ってどういう形があるのか、どういう風に考えられるのか、自分の中の愛って正しいのかを含めて考えて頂ける作品になっている」と三浦自身も大絶賛している。年末年始、行定監督の世界にはまり、三浦の演技に浸って日常から離れてゆっくりとした時間に自分を置いてみるのもいいかもしれない。
あなたを「愛の迷宮」に誘うミステリー。上海で、僕は美しい双子の姉に恋をした。でも、“彼女”は消えた。一年後、思いもよらぬ姿で、再び“彼女”は僕の前に現れた―。映画『真夜中の五分前』は12月27日(土)全国ロードショー。
(TechinsightJapan編集部 うめ智子)