超高級スポーツカーは、誰もがすぐに乗りこなせるわけではないことを私たちはもっと知るべきである。このほど米ニューヨーク州でランボルギーニが大破する死亡事故が発生。18歳のドライバーの手に負えるマシンではなかったようだ。
先月29日、米ニューヨーク州ロングアイランド北部の町、ポートジェファーソンに暮らしていたサミュエル・シェパードさん(18)は、父親の友人であるマイケル・パワーさんが買ったというピカピカのランボルギーニを前に、「僕にもちょっと運転させて」と叫んでしまった。だが運転技術の未熟な若者がスーパーカーのハンドルを握り、アクセルを踏むことはこの上なく危険な行為であったようだ。
その車の運転を許されたサミュエルさんであったが、興奮のあまりついスピードを出し過ぎ、ある地点でカーブを曲がり切れず車はガードレールに激突して大破。サミュエルさんは近くの「ストーニーブルック大学病院」に救急搬送され、そこで死亡が確認された。同乗していたパワーさんも怪我を負っているが、命に別状はないという。
サミュエルさんの父親であるジーンさんは車の修理業を営んでいる。サミュエルさんは幼いころから父親の作業をじっと見入っていたといい、ジーンさんにとっては自慢の息子であった。しかも今回の“試乗”についてジーンさんは友人からも息子からも話を聞いていなかったため、悲しみばかりか裏切られた気分をも味わっている。サミュエルさんは今年の6月に「マウントサイナイ高校」を卒業し、10月には米陸軍のエリート集団である「Army Rangers」への入隊が決まっていたそうだ。
またジーンさんの古き良き友人であったパワーさんは、ロングアイランド警察のマイケル・フィッツハリス部長刑事に「サミュエルは大の車好き。彼のことは4歳の時から知っています。自宅近くのある駐車場でサミュエルと会い、陸軍への入隊を控えていると聞いて、彼にならこの車を運転するチャンスを与えてもいいだろうと思ってしまいました」と説明したとのこと。自分の愛車と友人の大切な息子の両方を失い、こちらもかなりショックを受けている。
6年前にはドイツで、市場価格5000万円というVermotAG社のスポーツカー「ヴェリタスRSIII」が、中年男性の試乗により初めて公道でお披露目となった直後に事故で大破し、販売店をひどく狼狽させた。3.2秒で時速100kmに至るという8気筒エンジンに、シロウトである男性ドライバーの手には汗がにじみ、車はあっという間に街路灯に激突。フィッツハリス部長刑事は地元メディア『Newsday』の取材に、ランボルギーニのような極めてパワフルなエンジンを誇るスポーツカーを運転技術が未熟な人の手にゆだねることの危険性を重ねて強調している。
※ 画像はnews.sky.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)