エボラ出血熱の終息のカギを握ると言われる“ヒト抗体”。リベリアに滞在してエボラ出血熱患者のケアにあたっていた医師ら米国人2名の感染が確認されたが、そのうちの1名に生き延びた少年の血清が投与され、大きな注目を集めている。
西アフリカで猛威をふるうエボラ出血熱について、「Samaritan’s Purse(サマリタンズ・パース)」の米国本部からリベリアに派遣され医療行為などにあたっていた米国人2名(画像はnews.sky.comのスクリーンショット)が、同ウイルスに感染したことを数日前にお伝えした。その1名である33歳のケント・ブラントリー医師(写真・左)に対し、エボラ出血熱感染にも生き伸びた元患者の血清が投与され観察が続けられていることを『news.sky.com』が伝えている。
現在、西アフリカで猛威をふるっているのは、エボラ出血熱の中でも致死率が高い“ザイール型”。8月1日の時点で729名の死者が出たもようだ。予防ワクチンは存在しないが致死率は今のところ60%と計算され、生き延びた患者がいることも事実。やはり頼みの綱となるのはそうした生存者の血液ということになる。それを利用してエボラウイルスをやっつけることのみに特化し、純度を高めて副作用を抑えたヒト抗体の誕生にすべての望みが託されているのだ。
そのような中、2名を派遣した人道支援活動団体「Samaritan’s Purse」米国本部の広報担当者が、「1人分しかありませんが、生き延びた14歳少年の血清が到着し、試験的にではありますがブラントリー医師への投与がなされました」と発表。彼の容体回復に大変な期待を寄せているとした。ちなみに世界保健機関(WHO)は各国と共同で新たに1億ドルの予算を組み、派遣される医療関係者を数百人増強すると述べたほか、リベリア政府はすべての学校において当面の休校を決定し、全力で終息に努めたいとしている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)