ある日突然、出所の準備をするようにと看守に命じられた1人の服役囚。「まさか、何かの間違いでしょう」と正直に断るわけもなかった。英国政府管轄のある刑務所で、刑務官の完全な人為的ミスにより異なる服役囚を出所させてしまった。
「今日からシャバだな」。英ウェスト・ミッドランズ地方の刑務所で今月2日、ある独房の鉄格子が解錠され、アンソニー・ダグラスという20代の男は出所の手続きを済ませると、さっさと荷物をまとめてそこを後にした。しかし刑務所には、「オレの出所はまだか?」と不服を募らせるもう1人の服役囚の存在が。彼こそが、出所を待ちわびていた本物のアンソニー・ダグラスであったのだ。
『birminghammail.co.uk』が報じているところによれば、誤って別の男を出所させてしまうという情けない取り違え事件が発生したのは、ウスターシャー州レディッチにも近い「HMP Hewell」刑務所。 カテゴリーB(要注意の服役囚。逃走が困難な状況におく)、カテゴリーC(逃走の意思のない服役囚。開放的状況にはおかない)、カテゴリーD(きわめておとなしい服役囚。ある程度開放的な状況におくことが可能)と、極悪非道な凶悪犯をおくカテゴリーAの扱いがなかったことだけは幸いだ。
すべての原因は、刑務官における書類および人物確認がずさんであったこと。司法長官のクリス・グレイリング氏が、刑務所における服役囚の管理体制をさらに強化し、出所にあたっても厳密なルールを策定したいとの方針を発表したばかりだというからバツが悪い。一方、タナボタで出所していたダグラスも3日、スタッフォードシャー州バートン・アポン・トレントで身柄を拘束され、再び同刑務所へ。とんだぬか喜びといったところであろう。
※ 画像はbirminghammail.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)