昨年来の政情不安に揺れるタイ・バンコクで、バスの運転手や車掌、タクシー運転手が驚くことに紙オムツを着用しながら労働していることが伝えられ、世界的に波紋を広げている。
軍事クーデターや戒厳令で、ここにきてまたしても極度の緊張が続いていたタイの首都バンコク。人口約800万人超、マイカー所有者が増え始めて道路渋滞も大変なことになっており、バス、タクシー、トゥクトゥクは過当競争の時代を迎えている。それが影響し、乗務員の間ではこれまでになかった類いの健康被害が広まっているもようだ。
低賃金で頑張る乗務員たちにとって収入を上げる方法はただひとつ、労働時間を長くすることである。そこで自ら削減する傾向にあるのがトイレ休憩時間。なんとバスの車掌の20%超が大人用の紙オムツをあてながら勤務にあたっているという事実が明らかにになった。この問題について、男女共同参画の発展を掲げ活動している「Women and Men Progressive Movement Foundation」のJaded Chouwilaiさんは、「道路は常に渋滞し、彼らが利用できるトイレはあまりにも少ない。その上、本人たちも出来るだけ長く働こうとしてしまいます」と理由が複合的であることを指摘している。
しかし不潔なオムツの長時間着用は大問題。女性乗務員には尿路や外陰部の感染症、男性乗務員には膀胱結石を訴える者が多いという。また子宮がんの手術を受け、医師から「外陰部を長時間不潔にしているからだ」と言われた者も。バンコクではバスの車掌として働く女性の28%が一日あたり16時間も勤務にあたっており、なぜか子宮がんが多いという。「バンコク交通労働組合」のChutima Boonjaiさんは今、そんな乗務員らを代表してバスの走行ルートやバスターミナルにトイレを多数設置するよう、強い働きかけを行っているそうだ。
※ 画像はイメージです。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)