少し前に中国政府の食品検査官が英国のとある酪農家のもとを訪ね、チーズ一片を試食して「品質が気に入らない」といった評価を下し、中国が英国産チーズの輸入をやめてしまったことが報じられた。これを知った英国市民は中国への怒りをあらわにしているが…!?
今年3月、英国のとある乳製品工場を視察した中国の輸出入品質検査官。英紙『Mail on Sunday』によれば、これまで中国にチーズを輸出した経験がないというその工場でチーズを試食した検査官は、低い評価を下して帰ったという。その影響か、今月1日に中国政府は英国産チーズの輸入を禁じると発表した。英国では、「たった1つのチーズをほんのちょっと試食しただけで、NGと決めつけられたのは心外」などと報じられたこの一件。人々は「中国からの輸入食品にこそ安全に不安がある」と強く反発しており、『mirror.co.uk』が行ったウェブ投票の結果、6割を超す人々が「その制裁として中国からの輸入品をボイコットしたいと思う」に賛成していることが判明した。
だが、英国の酪農家にも反省すべき点はあったのかもしれない。中国では5月1日から新しい食品安全法(Chinese Food Safety)が施行となり、3月のイギリス視察はそれに適合する海外の乳製品を厳選したいとして実施されたもので、検査官は味ばかりではなく、生乳の貯蔵タンクやその温度管理、製造ラインにおける各種マシーンのメンテナンス、空気清浄や衛生状態をチェックするなど、検査項目は多岐にわたっていたとの情報もあるためだ。
この件について英・環境食糧農林省は、「わが国で生産されているチーズは世界最高水準の品質と安全性を誇っている。中国からの食品検査官は今後あちこちの乳製品メーカーのもとを訪れると思われるため、自慢のチーズをどんどん売りこんで欲しい。このたびの輸入規制は一時的なもので、あっという間に解除となるであろう」とコメントするなど姿勢は強気だ。中国にチーズを輸出してきた英メーカーは8社。その収入は毎年1,600万円ほどを計上していたという。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)