お酒が入るとつい気が大きくなるという人がいる。その一方で、お酒ナシでもその場の雰囲気で楽しく酔えるという下戸もいる。イギリスの大学のある心理学研究チームが大学内にニセのパブをこしらえ、「酔い」の真実を把握しようと隠しカメラにより監視することにした。
ロンドン・サウスバンク大学(London South Bank University)の心理学研究チームはこのほど、大学の構内に本物ソックリなパブをこしらえてしまった。狙いは飲酒がもたらすその人の性格や行動の変化を観察し、かねてから話題になっている「ノンアルコール飲料でも酔える」という真実を検証するため。米国ではこうした実験がすでに行われており、人は雰囲気でも酔えることが分かってきたが、彼らはそれを同じくアルコール消費大国であるイギリスでも試してみたいのであろう。
J-407という部屋を利用し、およそ340万円をかけて誕生したそのパブ。インテリアや照明器具も本格的なものを揃え、音楽ばかりか実際のパブで録音しておいた猥雑な音声をもバックに流すという徹底ぶりである。ここで客となるのは学生たちだが、イギリスは18歳で成人(飲酒も可能)するため何ら問題はない。隠しカメラが設置され、研究チームはその映像を隣室で見守ることになる。ビールを飲み始めた学生についてはその後の性格や行動の変化を観察し、ビールを注文しながらノンアルコールが提供された学生については、アルコールが体内に入らなくても雰囲気ひとつで酔えるか否かを観察する。つまりこちらは「プラセボ効果」の検証である。
医薬品やサプリメントの世界では無視できない「プラセボ効果」。ニセモノの薬やサプリメントを飲ませて症状や血液、尿、血圧、体調、気分といったものに変化が現れるかを観察するのだが、「血圧が下がる」と謳われているサプリを飲むと、その安心感からか実際に血圧が下がる例もあり、サプリには“信じる者は救われる”的な商品がまだまだ多いと言われている。さて、ノンアルコール飲料にはどれほどのプラセボ効果があるのだろう。結果の発表が楽しみである。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)