朝の情報番組『モーニングバード』で、世界が感動したソチ五輪男子クロスカントリーのエピソードが紹介された。スキー板が折れたロシア代表選手に本来なら敵であるカナダ代表のコーチが、スペアのスキー板を差し出したのだ。スタジオ内ではカナダ代表コーチの行為を“尊いオリンピック精神”だと称える中、ただ一人レギュラーコメンテーターの長嶋一茂だけが納得できない様子だった。
テレビ朝日系『情報満載ライブショー モーニングバード!』の「ニュースアップ!」のコーナーでは、ソチ五輪の日本人選手の活躍とは別に現地で話題になったニュースを取り上げている。2月14日の放送では、11日に行われたソチ五輪クロスカントリー男子スプリント準決勝で起こった感動エピソードが紹介された。
ロシア代表のアントン・ガファロフ選手は決勝進出を目指し、競技後半の下り坂で先の選手を追い抜こうと試みたが転倒。左足のスキー板の先端が折れるというアクシデントに襲われる。再び滑り始めるも、再び転倒。なんとか起き上がるも、左足のスキー板はボロボロの状態に。それでも彼は右足1本だけで、前に進もうとする。この時ガファロフ選手の頭の中にはただひとつ、“ゴールまで到達すること”だけだったという。
ヨロヨロと滑り出したガファロフ選手に、走り寄る1人の男性が現れた。スペアのスキー板を携え、ガファロフ選手の足元に屈み込むと自らの手で壊れた板と交換した。この男性はロシア代表のスタッフではなく、カナダ代表のコーチ、ジャスティン・ワーズワース氏であった。
「苦しんでいる彼をそのままにしておくことができなかった」「母国ロシアの観客の前で、良い経験をして欲しかった」とその時の心境を語るワーズワース氏。ガファロフ選手はトップから約3分遅れではあったが、無事にゴールすることができた。
VTRが流された後、コーナー担当の小松靖アナウンサーからクロスカントリーの場合は、スペアも含めてサイズが合えば用具の貸し借りができるというルール説明があった。
MCの羽鳥慎一アナは“プロだったら(敵の選手に用具を渡すことは)考えられない、やっちゃいけないこもしれませんけど”と前置きした上で、長嶋一茂に感想を求めた。すると長嶋は 「すごくいいシーンだと私も思う」と言いつつも、「ノルディックはこういうものなんだと見た方がいいね」と憮然とした表情。さらに「道具っていうものは(選手にとって)命より大事なものだから、それが壊れたら競技は終わりなんですよ、普通は」、「まぁ…そうじゃないスポーツもあったっていうことで。見方を変えるしかない」と長嶋は持論を展開。あわてて赤江珠緒アナが、「尊いオリンピック精神ですよね」とコーナーを締めくくった。
するとツイッター上には、“長嶋一茂さん、いい話を台無し”“オリンピックをバカにしてる?”とのつぶやきが見受けられた。彼は素直にVTRの感想を口に出したのだろうが、長嶋のコメントによりせっかくの感動話に水を差された格好の視聴者もいたようだ。
(TechinsightJapan編集部 みやび)