どう頑張っても運動しても落ちない体重や抑えられない食欲に、人は「自分の胃は大きすぎる。すぐに“お腹がいっぱいになった”と言う人がうらやましい」と思うものである。保険は効かないが、世の中にはバルーンで胃の内積を狭くさせるという方法もあるようだ。
幼い頃からの大食の癖と肥満に苦しむ知り合いのアメリカ人が、10年近く前に「医師からは“ウェイトロス・バルーン”を入れるか、胃バイパス手術を検討するように言われている」と話していた。肥満は健康の大敵。保険は効かないが最終手段として胃の内積、つまり許容量を大きく減らす方法を医師が薦めることもあるのだ。
痩身のために開発されたウェイトロス・バルーンも、徐々に進化を遂げている。こちらの画像は、英紙『デイリー・ミラー』電子版が報じた記事のスクリーンショットである。イギリスでは今、最新型のバルーン“Obalon”の処方に数々のクリニックや病院が乗り出しているとのこと。長年ダイエットの失敗に苦しんできた人々の間で大きな注目を浴びているそうだ。
今までのウェイトロス・バルーンと“Obalon”の大きな違いは、開腹手術が必要ないこと。マイクロカテーテル付きのカプセルを飲み込み10分。胃の中でカプセル部分は溶け、バルーンがリンゴほどの大きさに膨らんだらカテーテルを口から引き抜く。満腹感には個人差があるため、人によっては30日後、60日後にさらなるバルーンを飲むこともあるそうだ。こうして数か月間の監視を続けた後、経口内視鏡によりバルーンの縮小作業と摘出が行われる。BMI27以上の肥満患者を適応の目安としており、バルーン2つで自己負担額はざっと3000英ポンド(約52万円)とのことである。
気になる“Obalon”の成果だが、米国における治験では12週間で平均7.7kgの減量に成功しており、参加者からは「健康の大切さを再認識するよいきっかけになった」、「食事の内容を見直した」、「運動も始めている」といった前向きな意見が多数聞かれたという。副作用としては、処方後1日ほどで7%の人に嘔吐や胃痙攣、胃酸の逆流を経験することが分かっている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)