「誕生した赤ちゃんには重い障がいが認められ、長くは持たない」などと親に告げ、赤ちゃんを断念させては人身売買のブローカーに売り渡していた産科医の女に、まもなく死刑宣告が言い渡されようとしている。
中国・陝西省渭南市の富平県という農村部にある産婦人科病院で、数多くの赤ちゃんの分娩に立ち会ってきたZhang Shuxiaという名の56歳の産婦人科医。ところが昨年8月、人身売買組織に売る目的で親から誕生したばかりの赤ちゃんを奪っていたとしてZhangは逮捕され、その裁判が今月13日に始まった。医師としてあるまじき行為を働いていたこの女医に情状酌量の余地はないとして、まもなく死刑が言い渡されるものとみられている。
Zhangの逮捕で得たリストにより、買い手を待つばかりとなっていた6人の赤ちゃんが救出されたが、1人は昨年4月に1万7000円強の値で人身売買組織に売られた直後に死亡していたことも発覚した。Zhangは2011年11月から2013年7月までの間に、自分をよく信頼してくれている母親を選んで新生児を奪ったと話しており、出産を終えたばかりの母親とその家族に「残念ながら赤ちゃんには重度の障がいが認められ、長くは生きられません」などと嘘をつき、子供を断念するよう勧めたと述べている。Zhangは赤ちゃんを奪ったのは7件のみで、中国の大都市の夫婦に需要があったとしているが、地元の人々はメディアの取材に「過去7年にわたり同じ行為を繰り返してきた可能性があり、もっと多くの子が奪われたはずだ」と話しており、極刑を求めたいとしている。
しかしこの事件では、病院の院長ほか幹部2名と省職員3名が解雇および免職となっている。そのため「これこそ中国における人身売買の実態。病院や役所もグルになってすでに一大ビジネスと化している」といった批判の声が強くあがっている。一人っ子政策の下では農業の担い手として、また跡継ぎとして男の子の誕生を切望する保守的な家庭が多く、女の子が誕生すると売りに出したがる親がいたことも事実。また男の子のいる家庭に“誤って”2人目となる男の子が誕生した場合は、子供のいない裕福な家庭に高値で買い取ってもらうといった人身売買行為があとを絶たなかったとも言われている。
※ 画像はgerman.china.org.cnのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)