健康な男子がインターネットカフェに入り浸っているその様子に、家族や教師が「この子は、そして世の中は一体どうなっていくんだろう」と不安を覚えてしまうのは中国も同じ。ネットカフェの経営者ですら、「これ以上バーチャルアイドル・オタクを増やしてはならない」という考えを持っている様子だ。このほどあるカフェがその空気を一変させ、話題になっている。

日本では自宅で親が電話と同時にネット回線を契約し、パソコンを自分の部屋で使用できるという若者がほとんどであろうが、中国ではパソコンばかりか通信料も高く、インターネットカフェを利用する若者が依然として多い。さらに自宅にネット環境が整っていてもゲーム、アニメ、アイドルのサイトを長時間閲覧するなら「やはりカフェがいい」と言う男子が中国では圧倒的に多いもようだ。

儲かれば儲かるほどネットカフェの経営者は家族から睨まれている存在。ところがそんな経営者の中にも、バーチャルアイドルやアニメの画面に釘付けになっている男子のあまりの多さに、「世も末だ」と嘆く者がいた。そこで面白い取り組みにチャレンジしたのは、浙江省台州市にある「Playboy Bunny」というネットカフェ。可愛いビキニ美女たちを雇い、その子たちはネットにハマッている男子の脇に立ち、あるいは座り「ほどほどにして私と会話しない？」と優しく声をかけるというのだ。

店のオーナーであるZhu Ludiさんは、「バーチャルアイドル（架空のアイドル）の世界にどっぷりと浸かっている男子たちに、その瞬間だけでも現実の世界には生身の人間、温かい肌を持った女の子が存在するということを思い出して欲しいんですよ。そこで彼らが女の子に飲み物をおごったり、会話がはずむようであれば最高ですよね」と語っている。

実際にそのカフェで美女に話しかけられたLei Sungさんという21歳の青年は、「ゲームも楽しいけれど、隣に女の子が座ってくれておしゃべりしたら、そっちの方が断然いいなと思った」と嬉しそう。またビキニ美女として雇われたBo Chiaさんも、「裸を見せているわけじゃないし、ヘンな接待をしているわけじゃない。自分たちがただ話しかけるだけで男子の表情は和むし、私たちにしてもここは同世代の男子と親しくなれるいい出会いの場なのよ」と話す。

中国は「一人っ子政策」の影響で男子の数がかなり多く、適齢期でも結婚できない男性が増える一方。女性優勢の市場となっているため、彼女たちは結婚相手に望む理想が高く、お金のない男性は軒並み結婚を諦めているとも言われている。そのような中で、ベトナム女性とのお見合いツアーに男性が高い関心を示したことが伝えられた。こうなると素敵な男性は早い者勝ち、女性もウカウカしてはいられない。不健全な世界と言われたネットカフェを男女の健全な出会いの場所に…Zhu Ludiさんの思惑通り、カップル誕生の気配は十分にあるそうだ。
（TechinsightJapan編集部　Joy横手）