第二次世界大戦から終戦を迎えた時期の色丹島を舞台にした感動の長編アニメ映画『ジョバンニの島』の声優キャストが発表された。市村正親、仲間由紀恵、柳原可奈子、ユースケ・サンタマリア、犬塚弘、八千草薫、仲代達矢に北島三郎といったベテランから若手までが揃った。声優の経験はあまりないというベテラン勢も少なくないことで、逆に良い緊張感が生まれたようだ。
一般社団法人 日本音楽事業者協会50周年記念作品として制作された長編アニメ映画『ジョバンニの島』は、1945年に日本が敗戦した時期の北方四島の一つ、色丹島を舞台にした作品だ。父親の辰夫や祖父の源三とともに、自然に溢れる色丹島で暮らしていた純平(10歳)と寛太(7歳)の兄弟だったが戦後、ソ連軍の進駐によって生活が一変する。やがて訪れる家族との別れやロシア人少女との淡い初恋など、幼い兄弟の生き抜く姿が描かれている。
主人公・瀬能純平役の声を務めるのは、NHK大河ドラマ『平清盛』や、映画『ゼロの焦点』などで活躍する人気子役・横山幸汰くんだ。その弟の寛太役を務める谷合純矢くんもまた、映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』やTVCMなどを経験する実力派の子役として知られる。そんな2人を支える声優キャスト陣がこのたび明らかとなり、それぞれの思いを語った。
中でも小学校の教師で純平の担任・佐和子先生役となる仲間由紀恵は戦争を経験していない世代だけに、「特に細かい緊迫感は現場で監督と会話をしながら演じた」と話す。彼女は佐和子先生の声を演じたことで、「戦争が子供たちにもたらす非情さを、改めて映画を通して感じることができました」という。
同じく、若手の女性キャストではタレントの柳原可奈子が、純平の家に住み込みで働いている奉公人の娘・みっちゃん役を演じた。彼女は「これまで戦争というものを深く考えたことがありませんでした」、「自分がいかに恵まれた環境で生活できているか感じました」と明かしながら、「みっちゃんは明るいキャラクターなので、暗い環境だからといって暗くなりすぎないように気をつけました」と語った。
ベテラン勢では純平、寛太の祖父・源三役を歌手の北島三郎が務めており、よい空気感を出してくれそうだ。彼は「アニメのアフレコは初めてでしたが、とても楽しかった」と感想を述べると、「私の祖父は日露戦争にいった人間ですが、源三のように思ったのかなと感慨深い」と感想を述べている。
さらに同作で注目されるのが、仲代達矢(現代の瀬能純平役)と八千草薫(現代の佐和子役)の共演だ。仲代は「終戦当時、わたしは中学1年生で世の中の大転換に立ち会いましたが、多くのみなさんは戦後の平和しか経験していないなかで、この作品を通じて戦争はやってはいけないという思いを感じてほしい」と思いを伝えた。
また、八千草薫は「戦争で恐い思いをしましたが、もっと辛い経験をした方もいらっしゃると思います。戦争はしてはいけないということを知りながら戦争はなくならない。小さな努力を積み重ねることが大事だと作品を通じて思いました」と、やはり戦争の理不尽さを世間に伝えたいと語っている。
今回発表されたキャストは他にも市村正親(瀬能辰夫役)やユースケ・サンタマリア(辰夫の弟・英夫役)。村長役に犬塚弘も出演しており、一般社団法人 日本音楽事業者協会50周年記念作品だけに、豪華な俳優陣がそろった。それぞれにどのようなアフレコを聞かせてくれるか楽しみだ。
映画『ジョバンニの島』は2014年2月22日(土)、全国ロードショー
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)