お笑いタレントの渡辺直美がテレビ番組で米国・ニューヨークのロケを行った。その際に彼女はステージで“ビヨンセ”の口パクものまねを披露することになった。「昔からの夢だった」という彼女はテンションも上がるが、その分緊張も尋常ではない。そうした状況でついに実現した渡辺直美のショーに、NYの観客はどのような反応を見せたのか。感動の場面には視聴者からも大きな反響があった。
よしもとの東京NSC12期生としてお笑いの世界に入った渡辺直美は、2007年にコンビ・フレッシュライムを解散してピン芸人としてスタートする。ビヨンセの口パクものまねがウケて、『爆笑レッドカーペット』に出演したことでブレイクした。他にもマライア・キャリーなどのネタを持つが、今も“和製ビヨンセ”と呼ばれるほどその印象が強い。
10月9日に放送された『世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?』の中で、番組の名物女性ディレクター隅川さんと渡辺直美が渡ったのはNYだった。
渡辺直美の夢をかなえるために、米国の大手芸能事務所“タピレイ・エンターテインメント”のNY支社を訪れた。同社はおよそ1000人のものまねタレントを束ねるという。女性支社長は渡辺の話を聞き、ショーにうってつけのクラブに連絡をつけてくれた。
そのクラブでは、ドラァグクイーンと呼ばれる女装家たちの舞台『LIPS』が行われていた。ステージに立つのは最低10年は下積みした選ばれしクイーンだけである。ステージではマドンナやレディー・ガガにビヨンセまで超一流の口パクパフォーマンスが繰り広げられており、渡辺も「すごい!」と目を輝かせていた。
屈強の男性マネージャーにいきさつを話し、“ビヨンセ”が得意なことをアピールする渡辺。「失敗は許されない、ちゃんとやるか?」と決意を確かめられてショーへの出演を認めてもらった。その日はホテルに戻り、翌日の夜に行われるショーのステージに立つこととなったのだ。
ホテルに戻った渡辺直美は、カツラや衣装を準備しながら「本当に夢だった。ニューヨークの舞台に立つのが…」と感慨深げにしていた。やがて彼女は「体重も増えてきて、最近は前ほど本気ではない。膝の爆弾とか腰とかをかばいながらやっている」と胸のうちを明かす。「でも今回は関係なく、膝が爆発してもいいくらいに思い切り踊ろうと思う」、「頑張りたい、ウケたいですね」と決意を語っている。
ショーを行う当日の夜。クラブの豪華な客席は満員だった。ドラァグクイーンのショーなので女性客が多く、NYだけにショーを見る目も肥えている。マネージャーのはからいで渡辺は日本からやって来たゲストとしてトリを務めることになり、さらにプレッシャーがかかる。
そしてついに彼女の出番となった。「素晴らしいゲストをお呼びしてるわ! 初めてNYの舞台に立つそうよ!」と紹介されて登場した渡辺が、“ビヨンセ”のセリフにあわせて口パクする。観客は肘をついて眺める者が多く、静かなものだ。
しかし曲の盛り上がりと共に“ビヨンセ”が腰を振ると、観客にも笑顔が見え出したのだ。そこからの渡辺のパフォーマンスは凄かった。「膝が爆発してもいいくらいに思い切り踊る」という言葉通り、全身全霊で“ビヨンセ”となった。パフォーマンスがヒートアップするにしたがって、立ち上がり踊りだす者やスマホで写真を撮る者も出てきた。そしてステージが終わると大きな拍手喝采が沸き起こり、スタンディングオベーションまであった。日本ではお笑い芸人として活動する渡辺直美は観客の爆笑こそが最高の反応だが、NYではショーを楽しみ一体となってノッってくる感じなのである。
ステージを降りた後も、英語で「ナオミはどこなの?」とカーテンコールが起きた。司会者から「もう一度、みんなの前に! “ナヨミ・ワタナバ”」と紹介されて彼女が姿を見せると再び喝采を浴びたのだ。
スタジオでVTRを見て涙を見せたのは、同行していた隅川ディレクターだ。実はNYのクラブでもショーが終わると、隅川ディレクターは1人で号泣していたのである。さらにスタジオで共演する眞鍋かをりも、涙ながらに「アメリカで夢を達成したね」と感激していた。
彼女たちだけではない、ツイッターでも視聴者から「感動して涙でた。夢を叶えるって素敵」、「国が違っても本気でやれば伝わるんだね。本物の芸人なんだって感動した」とつぶやかれている。他にも「NYの渡辺直美さん、最高だった。プロだよなあ。すげーシンプルで、かえってそっちのほうがグッと来る」、「渡辺直美チャンかっこよかったなー! あんな女性になれたらいいなあと思いました。ものすごくNYの舞台が似合ってた!」と絶賛する内容が目立った。
最近は大御所タレントのコロッケにも弟子と認められて“岩崎宏美”のものまねなどレパートリーも増えている渡辺直美だが、今回のNYのステージで彼女の原点ともいえる“ビヨンセ”が改めて注目されそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)