ボーカロイド曲(ボカロ曲)を制作するボカロPの中でも10代の女子から人気がある3人が、NHK Eテレ『Rの法則』に出演した。ネット中心で活躍する彼らは滅多に顔を出さないだけに、ボカロファンを中心にツイッターでも大きな反響があった。
全国で10代の女子200人に尋ねたところ、98%が初音ミクなどによるボカロ曲を知っているという。10月16日の『Rの法則』には、そのボカロ曲を作るボカロPのじん(自然の敵P)さん、40mPさん、家の裏でマンボウが死んでるP(以下、マンボウP)さんが出演した。
番組で10代女子に彼らの作品で好きな曲を調査したところ、じん(自然の敵P)さんの人気曲は『チルドレンレコード』だった。じんさんは“好きなボカロPランキング”で1位の人気Pでもある。街で女子に同曲の歌詞について感想を聞いたところ、「前向きになれる」、「部活前に聴くと燃える」といった声があった。
女子高生からボカロ曲について、「機械だからできる滑舌とかリズムが多く、息継ぎする部分がない」、「キーが高いので喉をつぶすつもりで、気合いで歌う」といったカラオケで歌うのが難しいという声も聞かれた。
じんさんは彼女たちが動画で歌う姿を見て、「けっこうしんどいのに、メロディを追いかけてくれるのがすごく嬉しい」と感想を語ったが、マンボウPさんは「業が深いね、こんな難しい歌を若者に歌わせて」と笑いながら、「自分は絶対に歌えないだろうって曲を作ったりします」と明かしている。今度は、じんさんが「僕はこの間、それを歌いましたよ! 歌えなかったら悔しいから」と返して火花を散らしていた。
そんなマンボウPさんの人気作品が、『クワガタにチョップしたらタイムスリップした』だ。50年後の未来にタイプスリップする女の子を歌ったもので、未来の彼女が「私はちゃんと幸せだ」と死を迎える場面に感銘を受けたという女子が多い。他の作品では無かった“死”を扱ったことについて、彼は「人をびっくりさせる曲を書きたいというのが根っこにある。変なタイトルが多いのもそのためだが、この曲は笑いでなくイイ話でびっくりさせようと考えた」と語っている。
そして40mPさんの作品で人気があったのが、『シリョクケンサ』だった。同曲は恋愛だと思っていた感情がずれていくことに気づく男女の心情を歌ったものだ。彼は「実体験ではなく、この子はどんな恋をするのだろうかと妄想して書いた」というが、そのリアルさに水沢アリーから「恋愛しているでしょう」と突っ込まれていた。
『40mP(40mP) ツイッター』にも、視聴者から「たまたま一緒に見てたわたしの母がシリョクケンサ聴いて『いい歌だねー』って言ってました! 母がボカロ曲いいって言ってるのはじめて聞きました」というツイートも届いている。そんな分かりやすい楽曲である。
40mPさんは結婚しており、奥さんと知り合ったきっかけはボカロだった。ボカロ曲“歌ってみた”をやっている女性から40mPさんへ「曲が気に入ったので歌わせてください」とメールがあったのだ。「それから連絡を取り合うようになり、“結婚してみた”んだ」とMCの山口達也(TOKIO)から冷やかされていた。
その奥さんはボカロの“歌い手”シャノさんで、2011年12月に男の子を出産している。40mPさんも今やお父さんなのだ。40mPさんの馴れ初めを聞いたじんさんは、「スーパーうらやましい! そうか、その手があったか!」と羨ましがっていた。彼もマンボウPさんも独身である。
山口から「実生活で歌詞のようなこと(恋愛)ができるのか?」と尋ねられた2人は、「いや、できないからフィクションなので…」、「どこまでも希望論ですね」と苦笑しながらも「ファンタジーを作っているのだから」と作品にかける思いを伝えていた。
貴重なボカロPの出演を見た視聴者からは、ツイッターに「“ボカロP”特集、内容盛りだくさんで超よかった」、「マンボウPさん、じんさん、40mPさんが出て、始まりから叫びっぱなしだった」、「40mPがイケメン過ぎる」といったつぶやきが殺到しており、中には「Rの法則 めっちゃ参考になった! 俺も頑張る」とボカロPを目指して燃えるツイートもあった。
出演したボカロPの3人は「ネットでファンの声を聞くことはあるが、テレビで街の声を聞いたのは初めてで凄く新鮮でした」と喜んでいた。また40mPさんは、放送後にツイッターで「ボカロのことを丁寧に取り上げていただいて、そこに出演させていただけて嬉しいです。もっと堂々と喋れるように頑張ります」と感想を述べている。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)